緊急事態宣言の非科学性

森永卓郎・経済アナリスト、独協大学教授
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森永卓郎氏=武市公孝撮影
森永卓郎氏=武市公孝撮影

出口なき緊急事態宣言

 1月14日に大阪、兵庫、京都、愛知、岐阜、栃木、福岡の7府県が緊急事態宣言の対象に追加された。これで1月8日に発出された東京、千葉、埼玉、神奈川の4都県と合わせて、11都府県が緊急事態宣言の対象となったことになる。

 大都市圏が軒並み緊急事態宣言の対象となるのだから、経済的なインパクトは大きい。エコノミストたちの間では、すでに1~3月期の国内総生産(GDP)がマイナス成長になるのは確実だという見方が強まっている。

 もちろん、新型コロナウイルスの爆発的感染拡大という事態に直面したら、緊急事態宣言の発出はやむを得ない。というよりも、発出が遅すぎたと言うべきだ。感染症の専門家のなかには、昨年11月の時点で発出すべきだったという人が何人もいる。ただ、タイミングが遅れたこと以上に今回の緊急事態宣言が抱えている最大の問題は、1カ月以内の収束にまったく見通しが立っていないことだ。

 新型コロナ対策分科会の尾身茂会長も、1月5日の記者会見で、宣言解除の時期に関して、「どんなに早くても1月末とかはない。2月末から3月にそういう方に近づく」と口走ってしまった。その後、「国民が努力すれば1カ月以内での収束は可能」とトーンダウンしたが、本音は最初に言った「2月末から3月」の方だろう。

 なぜ専門家が、1カ月の収束は難しいと考えているのか。それは、昨年の緊急事態宣言のときと比べて、自粛の対象を大幅に絞り込んでいるからだ。

 菅義偉首相は、飲食店が急所であり、そこに絞った対策を取れば収束は可能だとしているが、本当に…

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森永卓郎

経済アナリスト、独協大学教授

1957年生まれ。日本専売公社、経済企画庁、三和総合研究所(現三菱UFJリサーチ&コンサルティング)などを経て独協大経済学部教授。専門はマクロ経済、計量経済、労働経済。コメンテーターとしてテレビ番組に多数出演。著書に「年収300万円時代を生き抜く経済学」(光文社)など。