玉木雄一郎「新しい政治」

コロナまん延防止措置の創設は問題 将来に禍根を残す

玉木雄一郎・国民民主党代表
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玉木雄一郎氏=根岸基弘撮影
玉木雄一郎氏=根岸基弘撮影

権利制限は緊急事態宣言下に限るべきだ

 我々は昨年4月から新型コロナウイルスの第2波、第3波に備えた特別措置法の改正を訴えてきた。現在の特措法は、「北風」も「太陽」も共に弱い。緊急事態宣言の実効性を高めるため、万全の補償と、罰則をセットで設けると主張してきた。最悪の事態を想定し、早期に最善の対策を講じるのが危機管理の鉄則だ。

 大事なことは、緊急事態宣言でできることと、緊急事態を宣言していない時にできることをはっきり区別することだ。緊急事態宣言は、国民の権利を一部制限しても、より大きな国民全体の健康、生命、社会活動を守るために特別なことをするという意味だ。逆に言えば、緊急事態宣言が出される前は、権利を制限するようなことはやるべきではない。

 問題なのは、政府の特措法改正案に、緊急事態宣言が出される前から「まん延防止等重点措置」として、知事が事業者に営業時間の変更などを命令できるようにし、違反した場合には罰則を科すことが盛り込まれていることだ。これでは、非常に曖昧な形で権利だけが制限されることになる。

 そもそも現在の特措法の24条第9項(注1)の条文を拡大解釈して、緊急事態宣言が出ていない時にも知事の権限で営業自粛や外出自粛を国民にお願いしてきたこと自体が間違っている。さらに緊急事態宣言を出した後も「宣言に準ずる地域」として宣言の対象地域以外にも要請している。宣言を出す前から権利制限に近いことをしているために、宣言を出した時に新たにできることが少なくなってしまう。メリハリがなくなり、緊急事態宣言自体の効果が減ってしまう。「宣言を出したから家にいてください」と言っても聞いてもらえなくなる。

権利制限には国会の歯止めが必要

 国民の権利を制限する以上は規律が必要だ。まず国民の納得を得る必要がある。国民の代表である国会で、事前に承認する。事前が難しければ事後でも首相がきちんと説明する。このことをおろそかにしていることがまず問題だ。緊急事態宣言のもとでは行政の権限が強くなる。ならばそれに応じて国会による民主的統制も強化すべきだ。…

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玉木雄一郎

国民民主党代表

1969年生まれ。93年大蔵省入省。2009年衆院初当選。民主党政調副会長、民進党幹事長代理、希望の党代表などを歴任。旧国民民主党の代表を務めた後、立憲民主党などとの合流新党へ参加しない議員で結成した新「国民民主党」の代表に引き続き就任した。早くから旧民主党若手のホープとして知られ、実家は兼業農家で農政通でもある。衆院香川2区、当選4回。