コロナ罰則 不安にあおられず冷静な議論を

古賀伸明・前連合会長
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古賀伸明氏=中村琢磨撮影
古賀伸明氏=中村琢磨撮影

 コロナ禍で生活が一変した2020年が終わり、新しい年21年がスタートしたが、依然として新型コロナウイルスが変異株も含め世界で猛威をふるっている。

 日本も1月8日に首都圏1都3県に緊急事態宣言が再発令され、14日に7府県に追加発令された。しかし、年末年始以来、新型コロナウイルス感染者の大幅な増加が、連日報道されている。重症者や死亡数も増加しており、状況が悪化しているのは間違いない。

 菅義偉政権は、社会・経済活動の制約を極力避けて短期集中的に新型コロナを抑え込むとしてきたが、遅きに失した対策が招いた感染拡大と言わざるを得ない。

 年末には緊急事態宣言に慎重だった姿勢が、1月2日、1都3県の知事からの要請に押し切られた印象で一転した。7日の記者会見では「大阪や愛知は再発令する状況にない」としていたのが6日後の13日には再発令を発表。判断を変えた根拠もわかりにくい。

 昨年11月上旬に「第3波」の到来を指摘されながら、国民に呼びかけた「勝負の3週間」の期間中もGoTo事業の継続に執着するなど、政府の対応は後手後手に回った。国民に外出自粛を要請しつつ、旅行や飲食店の利用を推奨するかのような「GoToキャンペーン」はどう考えても整合性がない。

 11カ国・地域からのビジネス関係者らの往来の停止も方針が二転三転し、与野党の声や世論により、全てを停止対象とした。

 今回の宣言の要請内容も中途半端であり、効果がみえなければ早急に追加策を講じるべきである。

 そもそも昨年の初めから、政府の対策は体系的に進められず場当たり的であった。5月に最初の宣言を解除した後も、政策の検証やコロナ対策の特別措置法が抱える課題の整理は行われなかった。

医療崩壊を防ぐことが最大の課題

 昨年4月の緊急事態宣言以降、最大の課題は医療崩壊を防ぎ、感染者の増加に耐えうる医療体制の整備であった。しかも冬場の感染拡大は十分に予測されていた。しかし、ほとんど手つかずのまま第3波の感染拡大を迎えてしまったことは、政府・自治体ともにすべきことを怠ってきたと言わざるを得ない。政治責任と言っても過言ではないだろう。

 感染者の増加で重症者向けの病床が埋まりつつある。入院先が決まらずに、自宅待機を余儀なくされる患者が増え、医療従事者の疲労も蓄積している。

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古賀伸明

前連合会長

1952年生まれ。松下電器産業(現パナソニック)労組中央執行委員長を経て、2002年電機連合中央執行委員長、05年連合事務局長。09年から15年まで第6代連合会長を務めた。現在は連合総研理事長。