科学技術と安全保障の取り組み 「20年」遅れる日本

大塚拓・衆院議員
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大塚拓氏=岡本同世撮影
大塚拓氏=岡本同世撮影

科学技術大国と呼べない日本

 IT革命により世界中で情報伝達の様相やコミュニケーション、社会のありようなどが大きな変革を遂げていることを背景に、さまざまな分野でこれまでの延長で捉えることができない時代に入ってきた。しかし残念ながら、日本はこの大きな変化に取り残されている。そして、その事実をあぶり出したのはコロナ禍だ。

 新型コロナウイルス拡大は日常を奪い、多くの人が大変な思いをしながら危機を乗り越えようとしている。その中で障壁となったのがデジタル化の遅れであり、「日本は科学技術先進国」というのは幻想であることを思い知らされた。テレワークの環境が整っておらず、必要以上に求められるはんこなどデジタル化を阻む制度・慣習も多い。オンライン診療もなかなか進まない。科学技術が発展し、デジタル化が当然のように世界中で受け入れられているのに対し、日本は私の感覚では「20年」遅れている。昨年9月まで副内閣相として、デジタル化の推進のための規制改革などを担った者としての実感だ。

 デジタル分野を中心に革新的な技術は社会を変え、社会のデジタル化が進めばイノベーションも加速する。この循環から日本は立ち遅れている。

 もちろん、各国は科学技術の発展に力を入れている。中国をはじめ米国、ヨーロッパ諸国も科学技術関連の予算を大きく伸ばしてきた。しかし、日本はほぼ横ばい。これでは日本で革新的なイノベーションを起こすのは難しいだろう。若手の研究者が自由にリスクを取って研究できる環境もなくなってきており、このままでは、ますます科学技術大国を名乗れなくなってしまう可能性がある。

未知数の研究への投資に消極的

 さらに、かつては先進的な技術をけん引してきた民間企業も勢いを失ってきている。大企業は独自に研究機関を持ち、基礎研究から取り組んできた。例えば、電気電子系の企業は高度な民生品群を生み出し、一時は世界を席巻したといっていいだろう。しかし、バブル経済崩壊後、研究開発は、より短期で収益につながるものに絞るようになり、民間企業を中心としたイノベーションサイクルはしぼんでいった。

 革新的な技術を開発するためには、実用化されるかどうかリスクのあるものに対しても投資するリスクマネーが必要だ。大企業にしろ、政府の予算査定にしろ、成果が出やすいかどうかや、市場性があるかどうかでお金を出すかを決めている。しかし、それでは「改善」はできても「革新」にはならない。

 例えば、未来のコンピューターとされる量子コンピューターも、初期は日本の大学や企業で研究が進んでいたが、早期の実用化は困難とされたのだろう、投資の手を緩め外国勢に先行されることとなってしまった。…

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大塚拓

衆院議員

 1973年生まれ。自民党国防部会長。銀行員などを経て2005年衆院選で初当選。副財務相、副内閣相などを歴任。当選4回。衆院埼玉9区。細田派。