ワクチンは難民にも 後回しにしてはいけない

谷合正明・公明党幹事長代理
谷合正明氏=須藤孝撮影
谷合正明氏=須藤孝撮影

 国会議員になる以前、岡山市に本部を置く国際医療NGOのAMDA(アムダ)で働いた。アンゴラ内戦に伴う国内避難民キャンプや911米同時多発テロ直後のアフガニスタン難民をパキスタン側で受け入れる難民キャンプの立ち上げに関わった。

 アンゴラでは内戦中だったので、地方の医療提供体制は壊滅状態だった。首都から離れた州立病院再建のために、医師を派遣し、分娩(ぶんべん)台などの医療機材を用意したが、初めて生まれた子どもにアムダちゃんと愛称をつけてくれたこともある。一方で難民キャンプで子どもが死亡すれば、その家族から激しく責められたこともある。

 AMDAでは、難民にとって一番つらいことはなにかということをよく考えた。食料がない、ものがない、医療がないという不足も大事な視点だが、「誰からも必要とされていない」「誰からも関心を向けられない」「やがて忘れられる存在だ」と受け止めてしまう――。人間の尊厳に関わる問題が、当事者にとってはつらいということも学んだ。

 もう一つは支援であっても、可能であれば難民キャンプに暮らす人たちと一緒にやるべきだということだ。診療所の運営では国外スタッフよりも、現地スタッフの数が多く、彼らなくして事業はできない。さらに当事者である難民にも参加してもらう関係を作り、支援者と当事者が同じ目線でやることが大切だということも学んだ。

 難しかったのは言語や文化、習慣の問題だ。受け入れ国の公用語は英語以外のことが多く、さらにキャンプに逃れた難民の使う言葉はまた別の言語だ。複数の通訳を介するとコミュニケーションが大変だ。また善意の贈り物が届けられることがあるが、数に限りがあると、かえって配給の際に騒動に発展することがある。そうした難しさも経験した。

国際協調でワクチン供給を

 先日、国連難民高等弁務官のフィリッポ・グランディ氏とオンラインで意見交換をした。コロナ禍では難民にしわ寄せがきている。ワクチンの供給もどうしても後回しにされる、そこをなんとかしたいという話だった。

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公明党幹事長代理

 1973年生まれ。NGO職員を経て、2004年参院初当選。経済産業政務官、副農相などを歴任。公明党幹事長代理、党参院幹事長、党国際委員長。参院比例代表、当選3回。