コロナ対策 全国一律が効率的とは限らない

橘慶一郎・衆院議員
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橘慶一郎氏=須藤孝撮影
橘慶一郎氏=須藤孝撮影

重い首長の責任

 私は国会議員になる前に富山県高岡市長を5年務めたが、2004年10月の台風で避難勧告を出した時のことが非常に印象に残っている。気象台から電話がかかってきて「市内の河川の堤防が決壊するかもしれない。しないかもしれない。勧告の決断は市長でしてほしい」と言われた時には責任の重さを痛感した。

 災害の時でも、今回の感染拡大でも同じだが、危機の時は、有権者から選ばれ、住民に一番近い自治体の首長の役割は非常に重くなる。住民に対する首長のリーダーシップは、それぞれの地域性のなかでより具体的な対策を打ち出せるかという点で、危機の時にはっきりと出る。

 コロナ禍でも、都道府県知事や市町村長が決めなければならないことが意外に多いことがあらためてわかったと思う。平時はあまり意識することはないかもしれないが、根源にあるのはやはり、民主主義であり、住民によって選ばれ、負託を受けているということだ。その責任は非常に重いものがある。

 安全保障など地方にはできない国の役割はもちろんある。また現実的には災害時のマンパワーなどは国の支援が必要だ。今回のコロナ禍でいえば、新型コロナウイルスの性格とか、何を恐れるべきか、などの基本的な部分は国の役割だ。しかし、実際に対策を実施する際には、それぞれの自治体がかみ砕いて状況にあわせたモデルが必要になる。

 国が旗を振り、地方が右向け右で従えばいいというものではない。地方には多くの自治体があって十人十色だ。まして、今回のコロナ禍のような危機の時には住民に一番近い自治体の役割が大きくなる。

 飲食店などに営業自粛を求めた際の協力金について、地域によって違いが出たことなども指摘されている。だが、全国一律でやればいいのかといえば、それはやはり違う。走りながら考えているところもあるが、全国一律が必ずしも効果的とは限らないこともわかってきたのではないか。

地方も努力を

 すべてが東京に集まる日本の一極集中は米国や欧州など世界の他の国と比べても異質だ。地方再生にはやはり中央省庁の地方移転を進めることがまず一番重要だと思う。省庁が移らないと企業も動かない。

 地方の側も努力は必要だ。地方はよく「子育てがしやすい環境が整っている」と若い人にアピールするが、しかしでは実際に地方の出生率が上がっているかというとそれほどでもない。子どもを産みたい人が産める、希望出生率の水準にはなかなか達しない…

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橘慶一郎

衆院議員

 1961年生まれ。富山県高岡市長を経て、2009年衆院初当選。総務政務官、副復興相、衆院文部科学委員長などを歴任。自民党総務部会長。富山3区、当選4回。