児童虐待の悲劇を止める 「子ども家庭庁」創設が急務

山田太郎・参院議員
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山田太郎氏=岡本同世撮影
山田太郎氏=岡本同世撮影

 警察庁の発表によると、児童虐待の疑いがあるとして全国の警察が2020年に児童相談所に通告した18歳未満の子どもは、前年より8738人(8.9%)多い10万6960人(暫定値)だった。児童虐待の問題は深刻だが、残念ながら行政が十分に対応できていないのが現状だ。

 複数の省庁にまたがる問題であり、役割や責任が分散し、調整が難しいことが背景にある。18年の東京都目黒区で虐待死した船戸結愛(ゆあ)ちゃん(当時5歳)の事件や19年の千葉県野田市で栗原心愛(みあ)ちゃん(当時10歳)が虐待を受けて死亡した事件など、いくつ悲劇を繰り返せばいいのか。子どもの命を守るため、一刻も早く強い総合調整機能を持つ「子ども家庭庁」を創設し、問題発覚から解決まで責任を持つ体制を作らなければならない。

子どもを守るアドボカシー制度

 虐待対応のための重要な四つの論点を示したい。まずは児童相談所の在り方だ。現在は虐待を受けた子どもも、非行が問題になった子どもも、児童相談所が扱うことになっており、同じ施設で生活しなければならないケースも多い。

 これは虐待で傷ついた子どもにとっては恐怖だろう。当然、非行の子どもと虐待された子どもでは対処方法が全く違う。非行に関しては、少年院をはじめとした更生施設がこれまでの経験を生かし、更生プログラムの質を向上させているといわれている。虐待と非行の問題の分離は難しくないはずだ。早急に児童相談所の現場改革をする必要がある。

 2点目として挙げたいのは、子どもの意見を真摯(しんし)に聞き代弁する「アドボカシー」という制度だ。アドボカシーは英国から広まったもので、「アドボケイト」(代弁者)が子どもを最大限守る立場でサポートする制度だ。虐待された子どもが保護された場合、家族の元に返すのか、保護を続けるのかなどを判断しなければならない。その際、親権停止など法的な問題が発生するが、法律の理解が難しい子どもにとって自分の考えを主張するのは難しい。アドボケイトは、徹底的に子どもに寄り添い、親ではなく子どもの意見を尊重し、法的な主張も行う弁護士のような存在だ。

 特に日本は欧米の諸外国と比べて親権が強い。例えば、虐待された子どもを民間のシェルターで預かった場合、誘拐をした疑いで訴えられるケースもある。…

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山田太郎

参院議員

1967年生まれ。東証マザーズ上場企業を創業。東京工業大特任教授、早稲田大学客員准教授、東京大学非常勤講師を経て2010年参院選にみんなの党から出馬し、12年に繰り上げ初当選。19年参院選で自民党公認として再選。比例代表、当選2回。