
企業選びに「社会課題の取り組み」
みなさんは、“エシカル”という言葉を聞いたことがあるだろうか。“エシカル/ Ethical”とは直訳すると、「倫理的な・道徳上の」という意味だ。一般的に「法律などの縛りがなくても、みんなが正しい、公平だ、と思っていること」と言われる。
エシカル就活というのは「人、地球環境、社会に配慮した企業を選ぶ就職活動」のこと(創案者:筆者)。
業種や業界ではなく、「人・地球・社会に配慮し、“環境配慮”や“社会課題”」に積極的に取り組む企業に就職する、というムーブメントだ。これまで、企業6社、学生300人による企業合同イベントを開催してきた。
昨今、Z世代と呼ばれる若者のSDGs(持続可能な開発目標)をはじめとした、社会課題への関心度が向上しており、Allesgoodの独自調査では「企業選びの軸は?」の問いに5人に1人の就活生が「社会課題への取り組み」と回答している。
一方、「企業の社会課題の取り組みが不透明」「SDGsが免罪符になり、本気で取り組んでいる企業がわからない」といった声もあがる。現状の就活サービスでは「業種・業界」でのリサーチしかできず、多くの学生が企業選びに苦戦している。
「貧困をなくしたい」と思い、途上国ビジネスに挑むも事業撤退
私自身も、就活に頭を抱えた一人だ。実家が八百屋を営んでおり、幼少期から事業家に憧れた。高校時代にバックパッカーとして東南アジアを放浪。そこで先進国と途上国の経済格差を是正するソーシャルビジネスに関心を持ち、大学では経営学部に所属。そこで「貧困をなくしたい」というテーマが見つかる。文部科学省留学日本代表プログラム「トビタテ!留学JAPAN」に採用され、「途上国の経済成長を目指す、現地の特産品を活用した有機化粧品事業」をテーマにドイツ、コスタリカ、米国に1年間留学した。帰国後、起業を志すも新型コロナウイルス感染拡大の影響により、事業撤退を余儀なくされ、大学4年の初めに就活をスタートした。
口先だけではなく、本気で取り組んでいるか
自分は「社会課題への取り組み」「自分と会社のビジョンとの親和性」の二つを軸に企業探しを始めてみた。しかし、どの就活サイトでも業界、年収、福利厚生などの情報しかなかった。さらに、気候変動の8割はビジネスが原因であると知り、企業選びに一層慎重になった。SDGsという言葉だけを使用し、PRしている企業ではなく、気候変動の深刻さを理解し、変化している企業に就職したいと思うようになった。

そして、自身の周りの就活生も全く同じ課題を感じていることが判明した。ある就活生は「学生時代に“気候変動”に関して国内外問わずさまざまな活動をしてきたが、実際に就活を始めても気候変動に取り組む企業を探すことが困難」と悩んでいた。
自分を含めた多くの人が「社会課題」という文脈から企業を探せるようにしたいと思い、自身が代表を務めるAllesgoodという会社を立ち上げ、誰もが社会課題を軸に就活できるようにエシカル就活Webサービスを開始した。そこでは、企業の社会課題への取り組みなどを見ることができる。他にも「気候変動」「地方創生」などカテゴリーごとに検索することができ、これまで取り組んできた社会課題テーマで自分に合う企業が見つかる。
まずは“就活”を入り口に世の中を変えていく
エシカル就活には“外圧”と“内圧”という二つの大きなインパクトがある。
一つ目は「環境配慮や人権などを軽視し、経済合理性だけを追求する企業には就職しません」という学生から監視される外圧。
二つ目は、エシカル就活を実践する学生が企業に所属し、内部から変革を起こしていく内圧。
口先だけで行動が伴わない企業をZ世代の学生はしっかり見抜く。今後増えていくであろう学生から企業への質問。
「御社はどのような社会課題への取り組みをされていますか?」
社会課題解決のために、企業と将来世代が共創できる環境をつくって行きたい。
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