FCVと水素社会 国策で取り組まなければ取り残される

工藤彰三・衆院議員
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工藤彰三氏=須藤孝撮影
工藤彰三氏=須藤孝撮影

 菅義偉首相が、2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロ(カーボンニュートラル)とすると表明した途端、「動かなければ」と思った。「水素社会推進議員連盟」の事務局長を務めている。

 自動車産業は戦後ずっとガソリンとディーゼルの化石燃料を中心に動いてきたが、カーボンニュートラルを目指すならば自動車のエネルギー源も変えなければならない。メーカーは、ガソリン車の廃止や転換を余儀なくされると後ろ向きに考えるのではなく、新しいクルマ作りを世界に発信すると考えてほしい。

 小池百合子東京都知事は、都内で新車販売されるガソリン車を30年までにゼロとする目標を示したが、あと10年しかない。知事の発信力は大きいが、目標を設定しただけでは変わらない。すぐに着手し、代替策を示しながら、徐々に変えていかなければならない。

ステーション普及がネック

 水素で走る燃料電池車(FCV)の利点はクリーンなことだ。二酸化炭素(CO2)を出さないだけではなく、最近では走りながら周囲の空気から不純物を吸収し、出すのは水だけ、というクルマさえできている。航続距離も300~500キロの電気自動車(EV)に比べて650~750キロと長く、燃料充塡(じゅうてん)も3分で終わる。また、災害時には電源として利用できる点も注目されている。エアコンを使わなければ、普通の家庭の約3日分の電力を供給できる。

 日本は世界で初めてFCVを商用化し、FCVの普及に積極的に取り組んできたが、世界各国も普及に力を入れている中、依然として課題もある。その一つがガソリンスタンドにあたる水素ステーションの設置が進まないことだ。設置コストが1カ所で約3.3億円と高額なこともあり、全国に約130カ所、整備中を含めても約160カ所しかない。ステーションが少なければFCVは普及せず、FCVが普及しなければステーションもつくられない。FCVが増えなければ販売価格も下がらず、いつまでたっても国民の手には届かない。

 クルマが先かステーションが先か、どこかで手を打たなければいけない。私はステーションが先で、水素を充塡できない不安を取り除くことが先だと思う。どこに行っても帰りの心配をしなければならない状態では、選択肢に入らない。これは企業に任せておく問題ではない。日本は水素ステーションの設置数で世界一であるが、基本的なインフラ整備については相当の補助を出して引き続き国を挙げて進めなければならない。

最先端なのに実用化で周回遅れ

 日本の水素技術は世界でも最先端だが、各国の追い上げも激しくなっている。ステーション設置でもそうだが、実証実験などに時間がかかる。実用化の段階で中国や欧州も取り組みを強化している。実用化に向…

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工藤彰三

衆院議員

 1964年生まれ。名古屋市議を経て、2012年衆院初当選。国土交通政務官などを歴任。衆院愛知4区、当選3回。自民党麻生派。