すぐそこにある危機--首都直下地震に備える「バックヤード構想」 リスク分散を急げ

菅家一郎・元副復興相
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菅家一郎氏=岡本同世撮影
菅家一郎氏=岡本同世撮影

 今後、高い確率で発生が予想される首都直下型地震や富士山の噴火など、首都・東京に甚大な被害をもたらす災害は、いつ起きるか分からない。さらに新型コロナウイルス禍は、東京など人口過密な地域での感染拡大のリスクを浮き彫りにしており、首都へのリスクは高まるばかりだ。

 東京は日本の人口の1割以上が居住し、国の立法・行政機関等の国家の中枢機能や大企業の本社機能など経済・金融の主要機能が集中している。東京を直撃する大災害時にいかに国家機能等を維持できるかは、重要な国家的課題と言えよう。この問題に対応するため、私は、リスクを複数の中核的な都市に分散させ、災害時にそれらの都市が首都機能を代替できるようにする「バックヤード構想」を提案したい。

 「今後30年以内に70%程度」。これはマグニチュード(M)7クラスの首都直下地震が起きる確率とされる。東京を被災地とする巨大地震は発生する可能性の方が高く、地球の営みの長さを考えれば「30年」は極めて短い時間。あす、巨大地震が東京で起きたとしても全く不思議ではないのだ。

 東京が被災すれば、1万を超える死者が出るほか、何百万人もの人が避難生活を強いられる可能性がある。多くの被災者を安全な場所に避難させたり、地方から食料、飲料、必要な物資などを迅速・大量に供給したりすることが求められる。そして国家中枢機能を維持させるための代わりの行政拠点も必要だ。

都市を結ぶ環状ネットワーク

 これらのリスクへの対応は、東京以外の一つの都市では抱えきれないだろう。その上、被災するのが東京だけとは限らない。実際、東日本大震災は東北を中心に広範囲に甚大な被害を及ぼし、津波により千葉県などでも犠牲者が出た。また、東京一極集中を避けるため「首都機能移転」の必要性が指摘されているが、移転先が被災してしまえばリスク回避にはならない。つまり、巨大なリスクに備えるためには複数の都市が連携し、リスクを分散させる体制を作る必要があるのではないか。…

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菅家一郎

元副復興相

1955年生まれ。会津若松市議、福島県議、会津若松市長を経て2012年衆院選で初当選。環境政務官、副復興相などを歴任。衆院福島4区、当選3回。自民党細田派。