中国の先端技術支配 日本は「分離」せざるを得ない

中山展宏・元外務政務官
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中山展宏氏=須藤孝撮影
中山展宏氏=須藤孝撮影

 中国はAI(人工知能)やICT(情報通信技術)といった先端技術を抑え、制御することで実業全般をも統制しようとしている。国家体制との親和性も高く、安全保障に関わる分野にも及び、技術と資本力によって覇権の圏域を広げようとしている。

 昨年10月の中国共産党の中央委員会第5回総会(5中全会)で議論された第14次5カ年計画では、内需と外需による「双循環」を目指し、国際市場の中国への依存度を高める「拉緊」という考えを掲げた。

覇権への「不可欠性」目指す中国

 中間所得者層が4億人を上回る中国の国内需要は海外勢にとっても魅力だ。旺盛な内需は海外製品を引き寄せる。当面、必要な技術は外資からも採用し、海外の製造業にとって中国の市場が不可欠になる状況を作り出すが、最終的にはすべて内製し、国内で「循環」できるようにするだろう。他方で、海外市場やグローバルサプライチェーン(国際供給網)による外需にとっては、中国製品が不可欠になることを目指す。

 この「双循環」が進むと、いずれ中国は自国の製品を外に出すことはあっても、外国製品を取り入れることはなくなる。これは、ハード機器のような物理的な製品のみならず、アプリやソフト、システムにおいても同様だ。

 もちろん、日本企業にとって中国市場も生産拠点も重要だ。しかし、中国共産党が掲げる国家の目標「偉大なる復興」は中国が支配するという世界観だ。これに備えるためには、日本は中国の市場への依存度を下げていくことを考えねばならない。コロナ禍で問題になったようなマスクや医療用防護服からレアアースに至るまで、生産拠点の過度の中国依存という面だけではなく、サプライチェーン自体を見直す必要がある。

 最終的には安全保障の観点から、日本としても中国とのデカップリング(分離)を考えざるを得ないが、一方で、日本の国益からしても日本企業の利益からしても、関係性を維持する努力を緩めることはできない。

 普遍的な価値観に隔たりがあり、とても難しいが、中国と共有できる価値や国際ルール、国際標準を作れないか、を探っている。たとえばトヨタ自動車はハイブリッド車を中国で供給することになった。これは中国の規定する環境車の範ちゅうにハイブリッド車を含めるという、中国によるルールの転換で実現した。

 また、日本の保健衛生分野のブランドは中国の消費者にとって信頼がある。中国にとってもメリットがあり、安全保障とは直接関わらない日本製品を通じて、日本の価値を中国に実装していくことは一つの方法だ。世界が中国に対して抱く危惧を中国自身が実体化しないよう、国際社会が協調して適応することが重要だ。

バイデン政権での対中政策と価値観…

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中山展宏

元外務政務官

1968年生まれ。証券会社社員、衆院議員秘書などを経て2012年衆院選で初当選。自民党国際局次長、外務政務官などを歴任。衆院比例南関東、当選3回。自民党麻生派。