Social Good Opinion

生理を「みんな」で支える社会のために

谷口歩実・「#みんなの生理」共同代表
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谷口歩実さん=宮本七生さん撮影
谷口歩実さん=宮本七生さん撮影

 2020年12月にスコットランドで、生理用品を必要とするすべての人に無償提供する法案が可決され、世界で類を見ない生理の政策が実現されました。

 21年に入ってからはイギリスが生理用品にかかる税金を撤廃したり、ニュージーランドの学校で生理用品が無償提供されることになったりと、世界中で生理用品へのアクセスを保証する施策が進んでいます。<生理用品、各国で負担軽減求める声 無料配布もある一方、日本は軽減税率対象外

 こんなに生理のある人にとって優しい社会があるのかと思ってしまいますが、これらの社会は決して夢の世界にあるわけではありません。多くの市民が声を上げてきたことで実現できたのです。

 私は日本でも生理のある人を社会全体で支える環境を実現したく、「#みんなの生理」という団体を立ち上げ、活動をしています。

 具体的には、アドボカシー活動、生理について話す場の創出、生理に関する情報の収集と発信、そして最近では生理用品の寄付活動の準備をしています。私たちの活動の一部は下記記事でもご紹介いただいていますが、改めて紹介させていただきます。<日本でも「生理の貧困」 必要なのに生理用品高くて買えない切実な声

 アドボカシー活動では生理用品の軽減税率適用を求める活動や、最近では学校のトイレに生理用品の設置を求める活動をしています。生理用品の軽減税率適用を求める署名キャンペーンは19年12月に開始し、現時点では4万5000人を超える方にご賛同いただいています。

 この署名は20年10月に公明党の竹谷とし子参院議員と矢倉克夫参院議員にお渡しし、生理に関する課題についてお話をさせていただきました。学校のトイレへの生理用品設置を求める署名活動は始まったばかりですが、一人でも多くの子どもたちが安心して学校生活を送ることができるよう、学校のトイレへの生理用品設置を求めて署名を集めています。

 生理について話す場の創出では、月に1~2回のペースで「#みんなの生理オンラインカフェ」を開催し、テーマを決めて生理について話す場をつくってきました。そもそも生理について考え、話す場がほとんどないことに気付き、このような場をつくることにしました。これまで初潮について、生理用品について、性教育についてなど、多岐にわたるテーマをさまざまなバックグラウンドを持つ方とお話ししてきました。他の人の生理に対する考えを聞くことで自分の考えも深まり、毎回新たな学びがありました。

 生理に関する情報の収集と発信では、日本における生理に関する課題を明らかにするために、主にSNSを通じたアンケート調査を行っています。今月初めには「日本の若者の生理に関するアンケート調査」の中間結果を発表しました。調査からは、過去1年以内に金銭的理由で生理用品の入手に苦労したことがある若者が約5人に1人の割合でいる実態や、生理を理由とした機会損失の実態が明らかになりました。この結果が大きな後押しとなり、さまざまな自治体で生理用品の配布等の取り組みが始まっています。

 そして、先述のアンケート結果から明らかになった、生理用品のアクセスがすべての人に担保されていない実態を受け、生理用品の寄付活動の準備を始めています。誰もが安心して十分な生理用品にアクセスできる環境づくりは行政が責任をもって取り組むべきことですが、行政の仕組みが行き渡るまでに時間がかかることや、行政の取り組みからこぼれ落ちてしまう人がいることから、#みんなの生理としても生理用品を届ける活動を開始することにしました。まだ準備段階ではありますが、一人でも多くの人が安心して生理を迎えられる環境を整えていきたいと思っています。

 これらの活動を通じて、#みんなの生理が大事にしている二つのことを伝えられたらと思っています。

 一つ目は「みんな」が生理の活動に居場所があるべきだということです。”女性”だけでなく、生理を経験するあらゆる人がこの活動の中で安心して意見を発信でき、その声が活動の中で反映されるべきだと考えています。誰一人として同じ生理の経験をしている人はいません。自身のアイデンティティーや置かれている環境、身体の特性などさまざまな要因が生理の経験を形作っています。「みんな」の声が反映された活動を通じて、すべての生理を経験する人のニーズが満たされた社会をつくりたいと思っています。

 もう一つは生理に関する課題を社会の「みんな」で考えていき、「みんな」で解決していこうということです。「~を我慢して生理用品を買えばいいではないか」「この生理用品を使っていればいいじゃないか」「この薬を飲めばいいじゃないか」と、生理に関する問題を個人で対処すべきこととして片づけてしまうのはとても簡単です。ですが、私は子宮を持って生まれただけで何かを我慢し、自己責任で犠牲を払ってまで適合しなければならない社会をこれから生理を迎える人たちに残したくはありません。変わるべきは生理を経験する各個人ではなく、生理を「ないもの」として扱い、自己解決すべきものだと考える社会の風潮です。そのためには、生理のある人だけに問題の解決を求めるのではなく、社会の「みんな」でどうすれば生理のある人が生きやすい社会をつくれるかを考えていく必要があると思うのです。

 これからも多くの生理を経験する人が日本で暮らしていきます。その多くの生理を経験する人が安心して、快適に生理を迎えられる環境は「夢」であってはならず、一日も早く「当たり前」になるべきです。生理の経験がある人もない人も、みんなで力を合わせて、一緒に生理を社会全体で支える環境をつくっていきたいです。

谷口歩実

「#みんなの生理」共同代表

 1998年生まれ。国際基督教大学でジェンダー・セクシャリティー研究と教育学を専攻し、2020年に卒業。在学中に「生理用品を軽減税率対象に!」署名キャンペーンを開始し、#みんなの生理を立ち上げる。現在は#みんなの生理メンバー4人と一緒に、生理に関するさまざまな不平等をなくすべく活動中。