選択的夫婦別姓導入を 反対議員は当事者の声を聞いて

田村琢実・埼玉県議会議長
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田村琢実氏=伊藤奈々恵撮影
田村琢実氏=伊藤奈々恵撮影

 1月末、自宅に1通の手紙が届いた。封筒の差出人は高市早苗衆院議員。選択的夫婦別姓に賛成する意見書が県議会で採択されないようご高配を、というのが手紙の内容で自民党国会議員50人の連名だった。

 まず、たいへん失礼な手紙だと感じた。地方議会が国会に対して意見書を送ることができるのは、地方自治法99条で定められた権利だ。意見書を出さないようにと、国会議員が口出しするのはおかしい。議会への圧力になりかねない。

 高市議員は「圧力をかけたつもりはない」とおっしゃったと聞くが、圧力になるかどうかは受けた側がどう感じたかだ。「いじめていない」と言っても、いじめられたかどうかは受けた側がどう感じたのか次第なのと一緒だ。

 高市議員は前総務相だ。総務相経験者が地方議員にこんな手紙を送りつけるということがどういうことなのか。想像力のなさが問題だ。地方自治に対する理解に欠ける。

家族の一体感は名字で生まれるのではない

 手紙には「戸籍上の『夫婦親子別氏』を認めることで、家族単位の社会制度の崩壊を招く可能性がある」「子の氏の安定性が損なわれる可能性がある」など、選択的夫婦別姓に反対する理由が書かれていた。

 今も家族で名字が違う家庭もあれば、兄弟姉妹で名字が違う方もいる。反対理由に挙げられているような主張は、そういった家庭は「うまくいっていない」と勝手に決めつけているようなものだ。里子を預かって育てている方々に対しても、非常に失礼ではないか。また世界の各国はほとんど夫婦別姓だが、他国では「子の氏の安定性」が損なわれているのだろうか。はなはだ疑問だ。

 50人の国会議員には、ぜひ困っている当事者の声を聞いてほしい。私自身、以前は選択的夫婦別姓に反対だった。別姓は家族や子どもに影響すると思い込んでいたこともあり、当事者の声を聞いてこなかった。反省している。

 昨夏、当事者の方から話を聞く機会があり…

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田村琢実

埼玉県議会議長

1971年生まれ。衆院議員秘書を経て、2007年埼玉県議に初当選し、4期連続当選。20年3月より県議会議長。自民党。