森氏発言と「オールド・ボーイズ・ネットワーク」

古賀伸明・前連合会長
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古賀伸明氏=小川昌宏撮影
古賀伸明氏=小川昌宏撮影

 去る2月の東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長辞任には、あぜんとした。

 コロナ禍の中で、世界が注目している五輪を主導する立場として、あるまじき発言だ。しかも、当初は続投で乗り切れると考え、対応が後手後手に回り、問題の発言から10日強、波紋は国内外に広がり女性蔑視の批判の高まりとともに辞任に追い込まれた。

 辞任前の記者会見や辞任当日の発言をみても、森氏本人が問題の本質を理解しているとは到底思えない。加えて、後任を内々で決めようとし、その人も辞退。その後の「候補者検討委員会」さえ透明性はなく、典型的な密室だった。プロセス全体も大きな課題であることに、なぜ気がつかないのだろう。

 欧米や五輪スポンサーの批判が高まるまで自主的に事態を収束できなかった日本社会。そして、男女共同参画を掲げて20年以上がたつが、日本がジェンダーギャップ指数(2019年12月、世界経済フォーラム発表)で世界153カ国中121位という不名誉な数字も再認識されることになった。

 今回の問題は、五輪の理念に反したからだけでもなく、会長が交代すれば終わりという話でもない。国際社会からの厳しい批判は、組織委員会の人事を超えた日本社会の根深い切実な問題を私たちに突き付けている。

男性社会の閉鎖性

 いまだに残る性差別構造を正すのはもちろんのことである。加えて、日本社会に根強く残る男性社会の不寛容さや閉鎖性を払拭(ふっしょく)することが必要だ。開かれた場での議論より、根回しや密室での意思決定を優先する風潮は今でも多くの組織の至る所でみられる。

 「オールド・ボーイズ・ネットワーク」という言葉を、ご存じだろうか?

 人事労…

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古賀伸明

前連合会長

1952年生まれ。松下電器産業(現パナソニック)労組中央執行委員長を経て、2002年電機連合中央執行委員長、05年連合事務局長。09年から15年まで第6代連合会長を務めた。現在は連合総研理事長。