「命は平等」の原則は変わらない 香山リカ氏

香山リカ・精神科医
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香山リカさん=平野幸久撮影
香山リカさん=平野幸久撮影

 今回の呼びかけへの応答に、私は本当に感激した。みなさんからの150を超えるコメントを読んでいるうち、本当に胸が熱くなった。

 そんな感情的な話を書く前に、気持ちを落ち着けて、呼びかけに至った経緯とコメントの紹介から始めよう。

出入国管理局の劣悪な環境や医療体制の不備

 世界一、難民申請が通りにくい国ともいわれる日本。2019年の申請者は1万0375人で認定されたのは44人、その割合はなんと0.4%だ。

 不認可となりすぐに帰国できない人は、そのまま“不法滞在”となる。さらに、コロナ禍の影響でビザの延長ができず、さまざまな事情で帰国もかなわないまま、“不法滞在”となる人も増えている。その中には出入国管理局の施設に収容されている人もいるが、そこでの劣悪な環境や医療体制の不備が社会問題になりつつある。

 実際に収容中に命を落とした人も複数いる。しかしその一方で、「不法滞在者なのだから当然だ」といった心ない声があることも事実だ。

 そんな中、参院議員の谷合正明氏は<ワクチンは難民にも後回しにしてはいけない>という文章を寄稿した。

 これは日本国内の難民や不法滞在状態となっている外国人を指しての話ではなく、広く世界の難民キャンプを視野に入れた主張ではある。しかし、与党・公明党の議員による「ワクチン確保の国際協調の枠組みを作り、難民へもワクチンを」という力強いメッセージに、国内の状況改善への希望を持つことができた。

 そこで、国内にいる在留資格のない、いわゆる不法滞在状況になっている外国人へのコロナワクチン接種をどう思うか、と読者に尋ねてみることにした。すると、10…

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香山リカ

精神科医

1960年北海道生まれ。東京医科大卒。専門は精神病理学。医師の立場から現代人の心の問題について発言を続ける。立教大学現代心理学部教授。