LINE問題は安全保障上のリスクを浮き彫りにした

城内実・衆院議員
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城内実氏=岡本同世撮影
城内実氏=岡本同世撮影

行政も積極利用していた脆弱基盤

 無料通信アプリ「LINE(ライン)」の個人情報が中国の現地法人からアクセスできる状態になっていた。この問題は、デジタル化の落とし穴に警鐘を鳴らすものであり、安全保障上のリスクを浮き彫りにするものだ。

 LINEは国内で約8600万人が利用する、もはやインフラと呼べるツールだ。私も以前、LINE公式アカウントによる情報発信を検討したが、データ管理が韓国・中国で行われている可能性があることなどから断念した経緯がある。

 インスタグラムやツイッター、YouTubeの利用は進めており、「なぜLINEを使わないのか」とも言われたりしたが、私の事務所では、まさに今回のような問題を懸念していたのだ。

 LINEは普及しているという利点から、国や自治体も積極的に利用していた。住民票や給付金の申請をはじめ、新型コロナウイルスのワクチン接種の予約システムなど公共サービスに活用しているケースは多い。

 脆弱(ぜいじゃく)な情報管理の基盤に成り立っていたアプリを、国民や企業だけでなく行政が積極的に使っていたというのは問題であり、危機感があまりにもなさすぎたと言わざるを得ない。

LINE問題は氷山の一角

 中国の現地法人によるアクセスが可能だった状態は極めて深刻だということを認識すべきだ。中国では、民間企業や個人に国の諜報(ちょうほう)活動への協力を義務づける国家情報法が2017年に施行されている。

 つまり中国政府が必要とすれば、個人情報や安全保障上の機密事項など、どんな情報も差し出さなければならないのだ。個人情報からその人の嗜好(しこう)や行動を分析してスパイ活動などに活用できる。

 安全保障など機密性が高い情報は国防のリスクにつながるし、外交上の脅しに使われてしまうかもしれない。産業技術や知的財産を盗まれ類似商品を作られてしまうと、経済的に大きな打撃を受ける。コスト安から中国企業に業務を委託している日本企業は多く存在している。LINE問題は氷山の一角の可能性がある。

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城内実

衆院議員

1965年生まれ。外交官を経て2003年衆院選で初当選。外務政務官、副外相、副環境相などを歴任。衆院静岡7区、当選6回。自民党。