人権外交は国内から 遅れている人権尊重の体制

中川正春・元文部科学相
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中川正春氏=岡本同世撮影
中川正春氏=岡本同世撮影

日本は人権尊重の国か

 ミャンマーや新疆ウイグル自治区など権力による人権侵害が多発する中、日本は人権尊重を価値観とする外交を展開すべきだ。前稿<大国の思惑に影響されない人権外交>でも触れたように、人権の尊重は日本国憲法の基本理念でもあり、平和国家を標ぼうする日本こそ前面に出していかなければならない。

 しかし、まずは日本が本当に人権を尊重する国なのか、国内を見直す必要があるだろう。難民の受け入れ態勢はどうなっているのか、国際人権規約をはじめ人権諸条約の保留条項の批准や国内体制の整備などに遅れはないか――。日本国内が人権を守る体制になっていなければ、人権の重要性をいくら訴えても説得力がないし、信用もされない。そして現状の日本は国際的に人権尊重を外交の軸にする十分な体制が整っているとは言いがたい。

お金だけでは責務を果たしていない

 日本政府は「難民問題に貢献している」と強調している。確かに国連難民高等弁務官事務所(UNCHR)に巨額の拠出金を出し、財政的には貢献していると言えるかもしれない。

 しかし、2019年の日本での難民申請者は1万375人、認定者は44人。認定率はわずか0.4%だ。米国は30%程度であり、カナダは50%を超えている。各国の事情の違いがあるので単純な比較はできないが、日本が難民にとって非常に狭き門であることは間違いない。

 さらに認定すべき人を認定できていないため、帰国困難な人の収容が長期化し、入管施設で亡くなるケースも増えている。難民問題の本質は難民の命を救うことなのに、正反対の状況になってしまっている。

 国際的に人権外交をリードしていくには、お金だけでなく、保護が必要な難民をしっかりと受け入れていくことが責務ではないか。

 ましてやグローバル化が進み、人の移動は大規模になっている。難民を含めて移民を受け入れる国内体制を整え、そのための法整備を進めるべきだろう。日本は労働人…

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中川正春

元文部科学相

1950年生まれ。三重県議をへて、96年衆院初当選。副文部科学相、文科相、防災、少子化、男女共同参画担当相などを歴任。衆院三重2区、当選8回。立憲民主党。