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<ご意見募集>西田亮介さんが問う 自民党の選択的夫婦別姓論に可能性は

西田亮介・東京工業大学准教授
西田亮介氏=手塚耕一郎撮影
西田亮介氏=手塚耕一郎撮影

 選択的夫婦別姓を巡る議論が社会や政界のみならず、これまで及び腰だった保守政党の自民党においても活発化している。まず簡単に現状をおさらいしよう。婚姻を規定する民法第750条には次のように記されている。

 (夫婦の氏)第750条 夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。

 この民法の規定によって、パートナーを配偶者控除の対象としたり、法定相続人としたりするためには原則的には婚姻関係を結ぶ必要があり、したがって男女どちらかの姓に統一することになる。女性側に兄弟姉妹がいない場合には女性側のイエと姓の継承は難しくなる。そして男性の姓にあわせる習慣は依然として支配的だ。

疑問は当然

 日本社会は現状、男女対等の社会とは到底言えないものの(それどころか「ジェンダーギャップ指数2021」では調査対象の156カ国中、日本の順位は120位)、それでも各分野において過去と比較すれば女性の労働市場や社会諸分野への進出が進み、家族形態の多様化も進むなかで、なぜ婚姻においてどちらかの姓に統一しなければならないのかという疑問が生じるのはごく当然のことと言える。

 なかでも、事実上、不利な立場にある女性の負担がさらに増すことが多いこともあって、主に女性から疑問の声があがるのは当然と言わざるをえないだろう。

世論調査では導入賛成の声

 実際、年を経るにつれて、各社の世論調査でも選択的夫婦別姓の導入に肯定的な声が多数派を占めるようになってきている。選択的夫婦別姓のポイントは、「夫婦別姓」と「夫婦同姓」を選択できるということである。毎日新聞の2020年の調査では選択的夫婦別姓に対して賛成の回答は49%で、反対の24%を大きく上回っていた。異なる調査だが、withnews<『選択的夫婦別姓』36年前の世論調査では…今は自民支持層も賛成6割>によれば、1985年の朝日新聞社の世論調査では「夫の名字を名のる方がよい」という回答が6割を占めていたが、90年代半ばごろからトレンドに変化が生じる様子が紹介されている(法務省の「選択的夫婦別氏制度に関する調査結果の推移」などでも同様の傾向がうかがえる)。

 しかし、政治の世界においては保守政権が支配的だったこともあって、民法改正への足取りは重たかった。過去に法相の諮問機関である法制審議会が民法改正を答申しながらも、法務省から国会への法案提出には至らず、与党・自民党においても改正に向けた議論が盛り上がることはなかったが、ここに来てようやく変化の兆しが見えてきた。

保守政治家の提言をどう受け止める?

 その中でも、牧島かれん・自民党青年局長の議論<選択的夫婦別姓 いろいろな家族の形を受けとめる>は注目に値する。

 牧島氏は家族形態の多様化や跡継ぎとしての女性といった現実的な視点と同時に、氏への愛着という保守政党らしい視点を導入しながら、選択的夫婦別姓に限らず、多様化した現実に対して「選択的夫婦別姓に限らず、その実態を法律や制度が受けとめられるように努力していきたい」と述べる。

 こうした新しい世代の保守政治家の現実的な提言を読者、そして野党の政治家はどのように受け止めるのか。読者の意見を拝聴したい。

東京工業大学准教授

1983年生まれ。博士(政策・メディア)。専門は社会学、公共政策学。著書に『メディアと自民党』(角川新書)、『なぜ政治はわかりにくいのか:社会と民主主義をとらえなおす』(春秋社)、『情報武装する政治』(KADOKAWA)、『ネット選挙 解禁がもたらす日本社会の変容』(東洋経済新報社)など多数。近著に「コロナ危機の社会学 感染したのはウイルスか、不安か」(朝日新聞出版)。ツイッター @Ryosuke_Nishida