子どもが一人で抱え込む「ヤングケアラー」へ即効性ある支援を

古賀伸明・前連合会長
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古賀伸明氏=梅村直承撮影
古賀伸明氏=梅村直承撮影

 家族に集中していた介護の負担を減らし、「介護の社会化」を目指して2000年に介護保険制度が施行された。20年強が経過する中で、介護の担い手に変化が生じている。特に「ヤングケアラー」への対策は喫緊の課題だ。

 ヤングケアラーは「家族にケアを要する人がいる場合に、大人が担うようなケア責任を引き受け、家事や家族の世話、介護、感情面のサポートなどを行っている18歳未満の子ども」を指す。

 こうした子どもは、世話や介護のための負担が過度になれば、学業に遅れが出たり、進学や就職を諦めたりする場合がある。また周囲から孤立する深刻なケースになる可能性もある。ヤングケアラーの存在は知られていながら、その人数や実態は長い間把握されていなかった。

 毎日新聞が、20年3月に総務省の就業構造基本調査を独自に分析し、初めて現状が全国規模で明らかになった。通学や仕事をしながら家族を介護している15~19歳の子どもが、17年時点で全国に推計3万7100人いることがわかったのだ。

 その後政府も実態調査に取り組み、調査結果を今年4月12日に発表した。

 公立中学2年生の5.7%(約17人に1人)、公立の全日制高校2年生の4.1%(約24人に1人)が「世話をしている家族がいる」と回答。誰にも相談できず孤立しがちな実態や健康・学業への悪影響が、全国的に初めて裏付けられたことになる。

 一部自治体や研究者の調査では、14歳以下の小中学生にも一定数のヤングケアラーが存在することが確認されており、実際にはさらに多いと思われる。また、18~30歳程度の「若者ケアラー」の存在にも目を向ける必要があり、切れ目のないサポートの仕組みが求められる。

 地域のつながりの衰退や、急速な少子高齢化や核家族化の進展、共働き世帯の増加などで、ケアを支える大人が減少し、家族の世話を担わざるを得ない子どもは今後も増えていく可能性が高い。

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古賀伸明

前連合会長

1952年生まれ。松下電器産業(現パナソニック)労組中央執行委員長を経て、2002年電機連合中央執行委員長、05年連合事務局長。09年から15年まで第6代連合会長を務めた。現在は連合総研理事長。