コロナ・ショック・ドクトリン

森永卓郎・経済アナリスト、独協大学教授
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森永卓郎氏=藤井太郎撮影
森永卓郎氏=藤井太郎撮影

日本の感染状況は「さざ波」なのか

 5月9日に内閣官房参与を務める嘉悦大学の高橋洋一教授が、自らのツイッターで世界各国の新型コロナウイルス新規陽性者数を比較したグラフを示して、「日本はこの程度の『さざ波』。これで五輪中止とかいうと笑笑」とツイートした。

 大阪や北海道が医療崩壊に直面している深刻な状況のなかで、「さざ波」という表現は不謹慎だと批判が殺到し、国会でも菅義偉首相が追及される事態に発展した。

 高橋教授は、「さざ波」という表現が不適切だったことは認めたが、データ自体は公表された正しいものであるとして、謝罪も撤回もしていない。

 ただ、高橋教授のツイートは、「さざ波」という表現以上に大きな問題を含んでいる。それは、比較対象とした国の選択だ。高橋氏のグラフは比較対象として、欧米プラスインドという感染が深刻な国だけを選んでいる。

 こうした比較だと、あたかも日本の新型コロナ感染対策がうまく機能しているようにみえてしまうのだ。

 山中伸弥教授が「ファクターX」と名付けた謎の要因によって、日本を含む東アジアの人々は、他地域の人と比べて、新型コロナに感染しにくく、重症化しにくく、死亡しにくいことが分かっている。

 下図は、私が、高橋教授が用いたのと同じサイトのデータを使って作ったパロディーだ。

 <日本はこんなにひどい「大波」。これで五輪開…

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森永卓郎

経済アナリスト、独協大学教授

1957年生まれ。日本専売公社、経済企画庁、三和総合研究所(現三菱UFJリサーチ&コンサルティング)などを経て独協大経済学部教授。専門はマクロ経済、計量経済、労働経済。コメンテーターとしてテレビ番組に多数出演。著書に「年収300万円時代を生き抜く経済学」(光文社)など。