ミャンマー情勢に新局面 民主派の矛先が中国にも?

田中秀征・元経済企画庁長官
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田中秀征氏=宮武祐希撮影
田中秀征氏=宮武祐希撮影

 最近、ミャンマーの民主派勢力の矛先が、国軍から中国へと微妙に変わってきている感じがする。そうだとするとミャンマー情勢は新しい局面を迎えつつあるのではないか。

 5月9日の毎日新聞朝刊<ミャンマー 中国向け施設、3人殺害>によると、このところミャンマーではネット上で「中国関連施設への襲撃」が呼びかけられ、5月5日にはパイプラインを警備していた警察官が3人刺殺されたという。

 このパイプラインは中国の巨大経済圏構想「一帯一路」の一環。ミャンマーの軍事政権と結託し、インド洋(ミャンマー西部ラカイン州チャウピュー)から中国内陸(中国雲南省昆明)へと敷設された。

 既に2013年に天然ガス、17年に原油の輸送が始まっている。これによって中国は中東からの原油をマラッカ海峡を通らずに運ぶことができる。

 地球儀を取り巻くような一帯一路構想を冷静に見つめると、ミャンマーの地理的重要性は飛び抜けていることがわかる。それは中国が「南にも海を持つ」ことを意味しているからだ。

 今年2月1日の国軍によるクーデター以来、中国は国軍への非難を避けて中立を装っている。この対応にミャンマー国内では反感が広がり「クーデターの背景に中国がいる」との情報も流れているという(2月27日毎日新聞朝刊 中国、ミャンマーデモ警戒)。

 今回のクーデターで、私が最も関心があるのは、クーデターの主役であるミンアウンフライン国軍最高司令官が、なぜクーデターを起こしたかという点と、彼が自発的にそれを決断したのかという点だ。

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田中秀征

元経済企画庁長官

1940年長野県生まれ。東京大学文学部西洋史学科、北海道大学法学部卒業。83年衆議院議員初当選。93年6月に新党さきがけを結成し代表代行に就任。細川護熙政権の首相特別補佐。第1次橋本龍太郎内閣で経済企画庁長官などを歴任。福山大学教授を30年務め、現在、福山大学客員教授、さきがけ新塾塾長。主な著書に「日本リベラルと石橋湛山――いま政治が必要としていること」(講談社)、「判断力と決断力――リーダーの資質を問う」(ダイヤモンド社)、「自民党本流と保守本流」(講談社)、「平成史への証言」(朝日新聞社)。