安全保障と私権の両立を 重要土地利用規制法案の必要性

北側一雄・公明党副代表
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北側一雄氏=岡本同世撮影
北側一雄氏=岡本同世撮影

今までなかった制度

 政府が国会に提出した審議中の重要土地利用規制法案は、防衛関係施設や国境離島などについて、安全保障上の観点からの機能を維持し、その機能を妨害しようとする動き(機能阻害行為)を防止することを目的としている。

 国は該当施設周辺の土地利用を調査・規制できるようになる。安全保障の観点から土地や建物の利用を規制し、土地や建物に関する情報を一元化する制度は、今までなかったものだ。日本の防衛のために重要な制度であり、本来ならもっと早く同趣旨の法律があってしかるべきだったと思う。ぜひとも今国会で成立を期したい。

 法案では、調査・規制の対象を重要施設の周囲1キロや国境離島とし、国はその中から「注視区域」を指定して土地の利用実態などを調査できるというものだ。

 機能阻害行為が見つかれば、罰則付きの中止勧告や命令を出せる。さらに、特に重要なものを「特別注視区域」とし、200平方メートル以上の土地、建物の取引の事前届け出を義務づけるなど、より重い規制をかける。安全保障の観点から考えれば、必要な制限と言えるだろう。

「安全保障」で全てが許されるわけではない

 しかし、「安全保障上の観点」という旗を掲げたら何でもできるというのは間違いだ。

 区域に指定されれば制限がかかるのだから、当然、経済活動や該当区域の住民への影響は避けられない。国民の私権を守るのも政府の役目だ。安全保障と私権のバランスを取っていく必要がある。

 法案で重視したいのは第3条だ。第3条は同法案に基づく措置の実施に関して「個人情報の保護に十分配慮」し「必要最小限度」となるよう義務づけている。第3条はこの法案の総則であり、全体を縛る。過度な私権制限をさせないためのものであり、政府に順守を強く求めていかねばならない。

経済的社会的観点

 対象となるような施設などはさまざまな機能を持っており、書き込むのは容易ではないため、法案にはどこを「注視区域」や「特別注視区域」に指定するかは書かれていない。法案成立後に政府が作成する基本方針に基づき、具体的な指定をしていくことになる。

 この過程でも過度な私権制限にならないようにしなければならない。…

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北側一雄

公明党副代表

1953年生まれ。90年衆院初当選。国土交通相、公明党幹事長などを歴任。衆院大阪16区、当選9回。