加害者が被害者を監視 住民を疑心暗鬼にする重要土地利用規制法案

赤嶺政賢・衆院議員
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赤嶺政賢氏=須藤孝撮影
赤嶺政賢氏=須藤孝撮影

 国会で審議中の重要土地利用規制法案は、政府が安全保障上重要とする全国の米軍・自衛隊基地、海上保安庁の施設、原発などの周囲1キロ、さらに国境離島で暮らす住民をすべて監視の対象にし、土地・建物の利用を中止することを可能にするものだ。

奪われた土地の周囲に住むものが監視される

 沖縄の米軍基地は国際法に違反して、住民が収容所に入れられている間に一方的に土地を奪い、作られた。サンフランシスコ講和条約後は米軍政下で「銃剣とブルドーザー」で新たに土地を奪われて基地が拡大された。本来は1972年の沖縄返還の際に米軍が奪った土地は地主に返されるべきだったのに、政府が新たな法律をつくって強制収用を続けた。占領下の状態が今に引き継がれている。

 そのことの悔しさはずっと県民のなかにある。戦争が終わって帰ってきたら古里は基地になっていた。戦後生まれでも自分たちの先祖が登ったあの山に行ってみたいという思いは募るばかりだ。

 基地から受けた被害と屈辱は数知れない。なのになぜ基地の1キロ以内に住んでいるために監視されなければならないのか。

 加害者が被害者を監視する。沖縄の米軍基地が形成された歴史的経緯からいっても、絶対にそんな不条理なことは認められない。この法案が示された時に、とっさにそのことが頭に浮かんだ。理屈抜きに体が反応した。本当にひどい法案だ。

沖縄の意見は聞かない

 しかも法案を作成する過程で沖縄の声を聞いたわけでもなく、基地被害について理解している人に聞いたわけでもない。政府は法案策定にあたって「国土利用の実態把握等に関する有識者会議」で意見を聞いている。しかし、私が国会で質問したところ、有識者会議では沖縄の基地の歴史や被害については「明確なそういう切り口からの議論はなかった」と答弁した。

 沖縄には基地があって当たり前だという棄民状態だ。日米同盟ありきで、民意よりも軍事を優先させることが日本政府にとって当たり前のことになっている。

 沖縄県民が一番、傷ついているのは県知事選でも国政選挙でも県民投票でも示された沖縄の民意が無視されていることだ。「沖縄県民はどうせ少数だから押し切ろう」と思っているのかもしれないが、そうはいかない。

法律を作る理由がない

 そもそもこの法律を作る根拠(立法事実)はあるのか。重要施設の機能を阻害する要因について政府はほとんど具体的な説明をしない。数少ない説明のなかでは飛行場周辺の構造物の設置などを示している。

 しかし空港周辺の高さ制限を超える構造物の設置は航空法ですでに規制されている。当たり前の話だ。…

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赤嶺政賢

衆院議員

1947年生まれ。那覇市議を経て、2000年衆院初当選。共産党沖縄県委員長、党幹部会委員。衆院沖縄1区、当選7回。