孤独は恥ずかしいことではない 頼れる人につながれる仕組みを

大空幸星・「あなたのいばしょ」理事長
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大空幸星氏=内藤絵美撮影
大空幸星氏=内藤絵美撮影

 昨年3月にNPO法人「あなたのいばしょ」を立ち上げ、相談を受けている。24時間、年中無休でインターネットを利用したチャット相談を受け付けているが、相談数が急増している。1日に600件以上、月に約2万件が寄せられる。

 相談が濁流のように押し寄せるなかで、体制を拡充して下流で一生懸命、壁を積み立てているだけでは間に合わないと感じるようになった。やはり問題の源流にアプローチし、上流でせき止める政策が必要だ。

孤独を社会問題に

 日本では孤独が自己責任とされていると感じる。さらに「なぜ一人で自分と向き合う時間まで奪おうとするのか」と言う人もいる。だからあえて「望まない孤独」という言い方をしている。孤独を個人の責任ではなく、社会の問題に広げたいからだ。

 自殺もかつては個人の問題であって政治が動く問題ではないとされてきたが、自殺対策基本法(2006年施行)ができて変わった。孤独もそうなることが必要だ。

個人の主観的な感情に政治がアプローチを

 昨年末に政府に孤独対策について政策提言した。その後政府は担当閣僚を置き、孤独・孤立対策担当室も設置された。NPOの意見が政府の政策に反映された良いモデルになったと思うが、最近、政府の対策が急ぎすぎ、各論に入りすぎていることを懸念している。

 私がずっと強調しているのは、客観的に把握できる状態からだけ、対策を進めていくのは危険だということだ。孤立していて孤独な人もいるが、孤立していなくても孤独な人はいる。家族がいない、友人がいない人が孤独だと思いがちだが、実際には家族がいても友人がいても孤独な人がいる。周囲に人がいても頼れない、話せない人はたくさんいる。

 客観的な孤立の問題に関してはこれまでもある程度対処がされてきた。それでもなかなか解決しないならば、個人の主観的な感情にフォーカスする必要がある。孤独と孤立の違いを明確にしたうえで、望まない孤独にある人は全て救うという意識が必要だ。政治もギアをもう3段か4段あげてもらわないとならない。

孤独は当たり前の感情

 今、一番必要なのは、孤独が恥ずかしいことであるとか、誰かに頼ることが恥であるというスティグマ(負のレッテル貼り)の軽減に本腰を入れることだ。

 孤独は「のどが渇いた」とか「おなかがすいた」という感覚と同じ種類の感情だ。人とつながりたいという欲求は生理現象の一つだ。孤独は誰もが感じるもので、おかしなことでもなんでもないというメッセージを政治はもっと発信してほしい。

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大空幸星

「あなたのいばしょ」理事長

 1998年、松山市生まれ。2020年3月、NPO法人「あなたのいばしょ」を設立。慶応大総合政策学部4年。