Social Good Opinion

アーバンファーミングで、コロナ禍の都市生活をウェルビーイングに

井上寛人・明治大学情報コミュニケーション学部4年
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井上寛人さん=FUJIGARAさん撮影
井上寛人さん=FUJIGARAさん撮影

コロナ禍の都市での暮らしに癒やしを

 皆さんはコロナ禍での暮らしに疲れたとき、どんな風にリフレッシュしていますか?マッサージ、YouTube、 Zoom飲み……。いろんな方法がありそうですが、都市で忙しく暮らしている方はアーバンファーミングを始めてみるのもいいかもしれません。

 アーバンファーミングとは、ビルの屋上やベランダなど都市空間の隙間(すきま)を利用して、野菜などを育てる農的な暮らしのことを言います。実は都会の中でも、ニンジン、小松菜、ダイコンや、ルッコラやパクチーなど多様な野菜を育てることができるんです。

武蔵野大学の屋上菜園=近藤ヒデノリさん撮影
武蔵野大学の屋上菜園=近藤ヒデノリさん撮影

ウェルビーイングと気候変動対策の両取り

 そんなアーバンファーミングの魅力は、ウェルビーイングと気候変動対策を両取りできることです。ウェルビーイングとは、体・精神・社会的な健康が持続可能である状態のことをいいます。

 私がそう考える理由は三つあります。

 一つ目は、都市の中で気軽に自然に触れられること。お仕事や学校などで少し疲れたとき、河川敷や公園に行ってぼーっとしているだけで結構リラックスできませんか?

 コロナ禍の都市での暮らしの中でも、大学やオフィスの屋上に菜園があれば、すぐに自然に触れることができます。ランチタイムに屋上菜園で取れたての野菜のサンドイッチを作って食べて、癒やされて仕事に戻る、みたいなことも気軽にできるようになったら最高ですよね。

 二つ目は、人と人とのつながりができること。東京・晴海にある、とあるタワーマンションの敷地内には「くまさん農園」という小さな菜園があります。この菜園を共同でお世話をしていく中で、これまであまり関わりがなかった住民の方々につながりが生まれたそうです。赤ちゃんからおじいちゃん、おばあちゃんまで多様な人々がフラットにつながることができるのも、アーバンファーミングの魅力です。

 三つ目は、二酸化炭素(CO2)削減につながること。植物がCO2を吸収してくれることは有名ですが、実は土壌も有力な吸収源になるんです。また野菜を都会で地産地消することによって、輸送時のCO2を削減することができます。さらに、アーバンファーミングを日常的に実践することによって人々の環境意識が高まり、環境に配慮したライフスタイルを行う人が増えるかもしれません。

原宿の屋上菜園で取れた野菜=筆者撮影
原宿の屋上菜園で取れた野菜=筆者撮影

 そんな、人にも環境にもポジティブなインパクトを与えてくれる「アーバンファーミングを、もっと楽しく、美しく、あたり前にする」ために、私たちが取り組んでいるTokyo Urban Farmingプロジェクトでは四つの活動をしています。一つ目がコミュニティファームをつくっていくこと。二つ目がアーバンファーミングを楽しむためのイベントなどの開催。三つ目が情報発信。四つ目が苗の配布やコンポストステーションなど、アーバンファーミングを実践するためのツールの開発と提供です。

 私がこのプロジェクトに参加するまでには、紆余(うよ)曲折がありました。

Fridays For Future Tokyoでの1年

 小さい頃から環境問題に興味のあった私は、大学1年生のとき国際環境NGOのグリーンピースJapanでインターンを始めました。

 同時期に、ひょんなことから「Fridays For Future Tokyo(略称、FFFT)」という団体の立ち上げに関わることに。FFFTでは、政府や東京都に対してより野心的な気候変動対策を求めるために、グローバル気候マーチというイベントを渋谷で行ったり、5000通を超える手書きの署名をみんなで集めたり、学生を対象としたワークショップを開催したりしました。

 活動を支えてくださるたくさんの方々のおかげで、立ち上げから1年がたつ頃には、団体はかなり有名になっていました。

 その一方で、FFFTのような社会運動のアプローチでは、あまり響かない人々もいることに気づいたり、立ち上げメンバーとしての責任感で動いていた部分も多かったりしたために、徐々に活動を楽しめなくなってしまいました。

Fridays For Future Tokyo主催のグローバル気候マーチ=350.org Japan撮影
Fridays For Future Tokyo主催のグローバル気候マーチ=350.org Japan撮影

多様な人々の創造性を持ち寄る

  FFFTを離れてから約1年後、大学3年生になった私は、もう一度ワクワクしながらサステナビリティーと向き合う感覚を取り戻すために、博報堂の創造性の研究機関「UNIVERSITY of CREATIVITY(略称、UoC)」の近藤ヒデノリさんがフィールドディレクターを務める『SUSTAINABLE CREATIVITY 実践篇』というゼミに入りました。

 ゼミでは年齢・職業・専門性が異なる多様なメンバー約20人が四つのチームに分かれ、プロジェクトを進めていくのですが、そこから生まれる革新的なアイデアの数々を見て、 同じ志と別々の専門性を持つ多様な個人が集まると、 普段では到底思いつかないようなイノベーションが起こりうるのだと納得できました。

 実はTokyo Urban Farmingは、近藤ヒデノリさんが発起人となって生まれたUoC発のプロジェクトなんです。

Tokyo Urban Farmingキックオフイベント=飯塚帆南さん撮影
Tokyo Urban Farmingキックオフイベント=飯塚帆南さん撮影

コロナ禍の都市生活をもっとウェルビーイングに

 コロナ禍の状況が長く続き、たまにしか対面で友達と会えず、家でずっとパソコンの画面に向き合う生活を送る人は多いと思います(特に大学生は)。 私自身もまさにそうで、精神的にきついことも多々ありました。

 そんなコロナ禍の都市の中で、ウェルビーイングに暮らしつつ、気候変動を解決していくための一つの手段としてアーバンファーミングはぴったりだと思います。誰でも気軽に実践できる機会はたくさんあるので、ぜひ調べてみてください。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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井上寛人

明治大学情報コミュニケーション学部4年

2000年東京都生まれ。東京都『サステナブルライフスタイルTOKYO』アンバサダー。 小学生の頃に学校の授業で絶滅危惧種について調べたことを機に環境問題に関心を持つ。2018年、環境NGO Greenpeace Japanでインターンを始める。同時期に、気候正義を求める学生ムーブメントFridaysForFutureTokyoの立ち上げに関わり、約1年間活動。2020年には、ESG投資Webメディア「ThinkESG」でインターンを開始。同年、博報堂の創造性の研究機関「UNIVERSITY of CREATIVITY(略称、UoC)」が主催するゼミに参加。現在は、UoC発のプロジェクト「Tokyo Urban Farming」の活動に中心メンバーとして参加しながら卒論に取り組んでいる。元米副大統領アル・ゴア氏主宰「Climate Reality Leadership Corps Tokyo Training」修了(2019)