Social Good Opinion

「食」を自分のスタイルで選ぶ

玉木春那・立命館大学経営学部4年
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玉木春那さん=ロンドンのフードマーケットにて。
玉木春那さん=ロンドンのフードマーケットにて。

「何をどう食べるか?」

 どれくらい、普段食べるものの背景を意識していますか? 分業化した世の中で、隅々まで知ることは大変ですが、それでも知ろうとすることは必要ではないでしょうか。なぜなら食べることは身体を作るだけでなく、環境問題や社会全体に影響するからです。

 食料を大量生産、消費、廃棄している現状があります。例えば食品ロス。日本での年間排出量は600万トン(2018年度)に上ります。エネルギーとコストをかけて食べ物を作った後に待っているのが、サイクルの早い消費や廃棄なのです。

 しかし、18年度の食品ロスの量は推計を始めた12年度以降で最少で、レストランやコンビニなどの事業者と家庭の両方で食品ロスが減少しています。<食品ロス、2018年度は600万トン 12年度以降で最少

 効率性や利便性の追求を優先してきた現代社会への違和感が、社会全体で高まっていることの表れであり、希望を感じます。

 他にも、牛肉の消費に関して議論される機会が増えています。牛のげっぷには地球温暖化の要因となる、メタンが多く含まれるため、環境負荷のかかる要因として挙げられているからです。メタンは温室効果が二酸化炭素(CO2)の約25倍にも上り、農林水産省によると、19年度の農林水産分野における温室効果ガス排出量のうちの約16%に当たります。<脱炭素へ牛のげっぷ「8割減」 第一人者が明かす秘策とは

一つではなく、複数の物差しで測る

 菜食への注目も加速しています。環境に配慮する意識から牛肉の消費を控える行動には賛同します。しかし、主張する際に、一つの立場や目的にとらわれず、他の人の主張にも耳を傾けた上で、自分のスタンスを示すことが大切だと思うのです。環境への配慮のために菜食を選ぶ価値観とは別に、畜産業が好きで守りたいから肉を選択する人の価値観もあります。

 一つの物差しだけで物事を判断すると対立が起きかねません。複数の物差しを知って、最適解を見つけることが大事なのではないでしょうか。それは、AかBの価値観で対立するのではなく、それぞれの意見を踏まえて新しい価値観Cを探すことだと思います。

納得できる選択肢をつくる

 そこで昨年から始めた取り組みが「Food × Sustainability Talk」というイベントです。さまざまな食に関わる人たちと話し合って互いの視点を共有したり、一つのテーマを深く考えることで新たな価値観を発見したりできるカジュアルな場にしたいと考えています。

 そもそも「サステナビリティー」とは「持続可能性」という意味がありますが、自然と共生する持続可能な社会システムを目指す考え方全体を指すようになっています。しかし、元々の意味も踏まえて、環境保全のためだけではなく「何を持続させたいか」と問いを持つことが大事ではないでしょうか。

自分のスタイルを持つ

 大量生産が可能になったことで、食べ物があふれる飽食の時代になりました。効率性や利便性で測るのではなく、背景を知って考えた上で、価値があると思うものを選択することが大切ではないでしょうか。

 そのために「いい」と思う感性を大切にし、「好きなものは自分で選ぶ」というスタイルを持つことがカッコいいと思います。買い物は投票であるかのように、応援したいものを買う姿勢を持つ。それが、大切にしたいものを未来へ残すことになると思います。「何をどう食べるか?」を考えてみることが、食を通して、より良い未来のための小さなアクションにつながるのではと期待しています。

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玉木春那

立命館大学経営学部4年

 1999年生まれ。食の大量生産、消費、廃棄のあり方に違和感を覚え、フードロスへの取り組みを経て、現在は食とサステナビリティーをテーマに取り組んでいる。立命館大学では経営学部でデザインマネジメントを勉強中。