櫻田淳さんのよびかけ

<ご意見募集>櫻田淳さんが問う 日本外交は人権に敏感か

櫻田淳・東洋学園大教授
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桜田淳氏=根岸基弘撮影
桜田淳氏=根岸基弘撮影

 此度、読者各位に呼び掛けるのは、逢沢一郎衆院議員の論稿<日本はミャンマー国軍の支配を絶対に容認できない>をたたき台にして、ミャンマー情勢への対応に象徴されるような日本外交における「人権への感度」を問う議論である。

人権が絡むと「例外」になるのか

 逢沢議員の論考は、既に4月下旬、2カ月近く前に出されたものである。けれども、去る6月8日、衆院は、軍事クーデターと民主主義後退に揺れるミャンマー情勢に関して、「クーデターは民主化への努力と期待を踏みにじるもので、国軍による現体制の正当性は全く認められない」と指摘する決議を出したところでもあれば、この件についての議論を深めることが大事であろう。

 そもそも、ジョセフ・R・バイデン政権下の米国政府は、「人権」を前面に出した対外政策展開に乗り出している。日本の対外政策の下地は、米豪加各国や西欧諸国、すなわち他の「西方世界」諸国との協調の徹底にこそある。ただし、筆者が一抹の不安を禁じ得ないのは、日本が推し進めるべき「西方世界」での協調の徹底が、ミャンマー情勢への対応のように「人権」が絡む案件に際しては、「例外」になるかもしれないということである。実際、そうした「人権外交」への呼応に懐疑的な言説は、根強く示されている。

国軍への忖度と、民衆への冷淡さ

 たとえば、河東哲夫元駐ウズベキスタン大使は、雑誌『ニューズウィーク日本版』上のコラム(4月27日配信)に次のように記している。

 「アジア諸国での人権・民主化問題については、日本は現地政府に声明などで大々的に圧力をかけるよりは(それは逆効果になりやすい)内々自重を申し入れて解決策を探る。と同時に、G7や国連などの多国間協議の場で態度を表明していくのが限度だろう。……他国での人権・民主化問題には、その国の人たちの安全と生活をまず第一に考えて、慎重に対応するのが責任ある態度だろうと思う」

 もっとも、河東元大使が披露したような「外交の玄人筋」の意見は、対外関係に際して「何が大事か」という価値の評価を曖昧にさせてしまう懸念がある。

 それは、「人権」よりも「現地政府と話ができること」を優先させるという倒錯を招くのである。そして、それは、ミャンマー軍部に対する「異形な忖度(そんたく)」とミャンマー民衆に対する「冷淡な姿勢」を印象付けることになるであろう。

日本の対応は

 逢沢議員は、次のように書いている。「私たちはクーデターは絶対に認めないし、国軍のミャンマー支配を容認することは絶対にない。ミャンマー国民に『NLDをはじめとする選挙で選ばれた人たちがミャンマー国民を代表する人たちだ』という強いメッセージを伝えたい」

 逢沢議員が書いたことが、ミャンマー情勢に絡む日本の対応の下地とされるべき認識ではなかろうか。読者各位は、どのようにお考えであろうか。

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櫻田淳

東洋学園大教授

1965年生まれ。専門は国際政治学、安全保障。衆院議員政策担当秘書の経験もある。著書に「国家の役割とは何か」「『常識』としての保守主義」など。フェイスブックでも時事問題についての寸評を発信。