「クラウドワーカー」への法的保護を拡充する取り組みを

古賀伸明・元連合会長
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古賀伸明氏=内藤絵美撮影
古賀伸明氏=内藤絵美撮影

 近年、企業の事業形態の多様化などにより、個人請負、業務委託など雇用契約によらない契約方式、いわゆる「雇用類似の働き方」とか「曖昧な雇用関係」と称される就業者が増えている。内閣官房の推計では462万人、就業者の7%弱であるが、民間機関の調査では1000万人に近いものもある。

個人事業主の多様化と増加

 特に、最近インターネットをはじめとした情報通信技術(ICT)の発達によりプラットフォームを介して働く、クラウドワーカーと呼ばれる個人事業主としての就業者がますます増加し、今後加速する可能性がある。

 このプラットフォームを介した働き方の基本的なシステムは、クライアント(顧客、発注者・企業)、プラットフォーマー(仲介者)、クラウドワーカー(労働者)という3者が存在する。

 仕事の内容も、大きく非対面型と対面型に分けられる。非対面型は、例えば、単発で依頼されるデータ入力やアンケート調査、1文字いくらで計算される翻訳のようなものから、プログラミング開発、創造性が強く要求されるデザイン、学術要素の強い市場調査など。対面型はコロナ禍での巣ごもり需要の拡大に応じて急速に増加したウーバーイーツのような、アプリを介しての飲食宅配サービスの提供など、ありとあらゆる分野に及んでいる。

増えた就労機会

 このようにクラウドワーカーといっても、職業実態、職種によりその形態は多種多様であり、生計を立てている人もいれば副業の人もいるなど極めて多様性を持っている。

 ネットワーク環境さえあれば、自由に時間と場所に制約されることなく、自律的で柔軟な働き方を選ぶことができ、ときには国境を越えて仕事をすることも可能である。

 全世界を襲った新型コロナウイルスの感染拡大により、在宅勤務やテレワークなどの時間と場所に縛られない働き方が増加したこととも相まって、これまで企業組織などに組み込まれた形で働くことが難しかった人々、たとえば主婦や障がい者、高齢者などに新たな就労機会を提供する可能性も大きくなった。

報酬不払いなど「影」の側面

 しかし、これらの働き方は「光」の側面だけでなく「影」の側面も持…

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古賀伸明

元連合会長

1952年生まれ。松下電器産業(現パナソニック)労組中央執行委員長を経て、2002年電機連合中央執行委員長、05年連合事務局長。09年から15年まで第6代連合会長を務めた。現在は連合総研理事長。