在留資格がない外国人へ医療を 排除された窮状に目を向けて

香山リカ・精神科医
香山リカ氏=岡本同世撮影
香山リカ氏=岡本同世撮影

 名古屋出入国在留管理局(名古屋市)の施設に収容されていた30代のスリランカ人女性が3月に亡くなった。嘔吐(おうと)を繰り返すなど体調が悪化し、仮放免(一時的な条件付きの解放)を申請していたが認められなかった。

 支援者も担当部局に入院の必要性を訴えていたが聞き入れらなかった。なぜ、女性は適切な治療を受けられなかったのか。入管はどのように対処したのか。真相は究明されないままだ。

 この事件をきっかけに出入国管理及び難民認定法(入管法)を巡る議論が活発化している。この他にも、入管施設では以前から収容者の死亡事例が繰り返されている。スリランカ人女性の死は痛ましく、非常に悲しい出来事だが、二度とこのようなことが起きないよう、しっかりと議論を重ね、入管法をより人道的な方向に改善してほしい。

向精神薬を多用?

 入管施設での医療がどのようになされているかは、ブラックボックスとなっている。支援者の方から「このような薬を飲まされているらしい」と処方箋のメモを見せてもらったことが何度かある。それを見ると、古いタイプの鎮静作用の強い向精神薬が多く使われていた。

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精神科医

1960年北海道生まれ。東京医科大卒。専門は精神病理学。医師の立場から現代人の心の問題について発言を続ける。北海道むかわ町国民健康保険穂別診療所副所長。