本国送還に偏る人権軽視の入管行政の転換を

階猛・衆院議員
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階猛氏=岡本同世撮影
階猛氏=岡本同世撮影

 長期収容、人権軽視、在留を認めない体質――収容先の名古屋出入国在留管理局(入管)でスリランカ女性、ウィシュマ・サンダマリさん(当時33歳)が3月に亡くなった事件をきっかけに、日本の入管行政の問題がクローズアップされている。

 前稿<入管の隠蔽=いんぺい=体質、責任逃れを許すな 法改正よりビデオ非開示を選んだ法務省>では、体調悪化で仮放免や入院を求めるウィシュマさんの訴えに耳を傾けなかった入管の業務運営の問題と不都合な情報を隠蔽する体質を指摘した。入管行政は日本の国際的な評価にも直結する。入管とこれを所管する法務省の組織のあり方を含め、早急に入管行政の改革に取り組まなければならない。

とにかく「早く送還を」の考え方

 政府が国会に提出し廃案の見通しとなった入管法改正案は長期収容をなくすことを狙いとしていたが、その内容は認めがたいものだった。外国人の在留管理を厳格化しつつ、難民認定手続きを3回申請すると強制退去させることができるようにするなど「早く送還すれば長期収容がなくなる」という考え方に基づいていた。

 日本では年間1万3000人ほどに対し退去命令が出され、そのうち約1万人が命令に従って帰国している。約3000人はさまざまな事情で国内に残り、収容対象となっているが、その中には本国で迫害の危険があったり、政情不安のため命の危険性があったりと、帰れない事情を抱えている人が多い。日本に家族がいたり、日本語しか話せない子どももいたりする。

 もちろん、難民認定申請中は送還されないとする現行制度を悪用する人もいる。しかし、わずか1%程度の難民認定率は諸外国と比較して極めて低く、またその手続きも不透明であるため、本来保護されるべき外国人を保護していない可能性が高い。日本に家族がいたり、日本の社会になじんでいたりする人であっても、在留資格が切れれば本国に帰すというしゃくし定規なやり方は、人権への配慮を欠いたものだ。

 改正案では、送還まで支援者や弁護士ら「監理人」のチェック下、施設外で生活できる「監理措置」の創設も盛り込まれていた。条件付きで一時的に解放される「仮放…

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階猛

衆院議員

 1966年生まれ。銀行員などを経て2007年衆院補選で初当選。総務政務官、民進党政調会長、国民民主党憲法調査会長などを歴任。立憲民主党。衆院岩手1区、当選5回。