
少子化対策費は増やさない?
一部の高収入世帯の児童手当を廃止する改正児童手当関連法が与党の賛成多数で5月に成立した。所得制限で捻出された財源は、企業による「子ども・子育て拠出金」の拠出率引き上げとともに、14万人分の保育の受け皿づくりに充てられることになる。
しかし、待機児童対策としての財源を児童手当の削減によって捻出するという手法は、「少子化対策費は増やさない」というメッセージと受け取らざるを得ない。
国の少子化対策の指針である少子化社会対策大綱が標ぼうする「社会全体で子育てを応援する機運」に反するものといえ、少子化対策につながるとは思えない。
現在の児童手当は中学生以下が対象であり、3歳未満は1人当たり月1万5000円、3歳以上は同1万円(中学生未満の第3子以降は1万5000円)が支給される。年収が一定額を超える世帯は、特例給付という形で支給額が一律5000円に減額される。
今回の改正は、この特例給付について、2022年10月分より、専業主婦(夫)と子ども2人のモデル世帯で世帯主(収入が高い方の親)の年収が1200万円以上の場合、支給を停止するというもの。対象から外れる児童数は政府の推計で61万人、全体の約4%に相当するとされ、年間370億円の財源が得られるという。
分断生む所得制限
高所得世帯から財源捻出に協力してもらうという考え方は当然、あるだ…
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矢田稚子
参院議員
1965年生まれ。松下電器産業(現パナソニック)社員、パナソニックグループ労連副委員長を経て2016年参院選初当選。国民民主党副代表。参院比例代表、当選1回。
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