
東京都議選(7月4日投開票、定数127)で自民党は明らかに「失速」した。投票率の低落は組織戦を得意とする自民、公明両党に有利とされてきたが、低投票率の「恩恵」に浴したのは23候補全員当選を果たした公明党のみ。自公で過半数は取れると踏んでいた自民党は33議席にとどまる誤算で、都議会第1党に返り咲いても勝利感はなし。無党派層にそっぽを向かれ、頼みの自民党支持層の動きも鈍かった。これは東京だけの一時的な現象なのか、来るべき衆院選に向けた菅義偉政権の「解散戦略」に暗雲が立ち込めてきたのか。
2回の調査で見えた「失速」
毎日新聞は都議選が告示された翌日の6月26日、TBSテレビ、社会調査研究センターと共同でインターネット調査を実施し、「自公、過半数の勢い」「都民ファーストの会、大幅減か」との情勢報道を行った。しかし、選挙結果は自公で過半数に届かず、都民ファーストの会は自民党と2議席差の第2党に踏みとどまる健闘を見せた。
マスコミが勝手に調査して、その結果と違ったら「失速」と言うのはマッチポンプ的だとの批判もある。だが、毎日新聞は今回、告示翌日の情勢調査と全く同じ方法で投票日にも調査を行ったことにより、「自民の失速」と「都民フの巻き返し」という、告示からの8日間に生じた情勢の変動を捕捉することができた。
調査は、NTTドコモの携帯電話ユーザーを中心とする「プレミアパネル」(dポイントクラブ)の都内在住者から無作為に抽出した対象者にメールで協力を依頼し、インターネット上で「誰に投票しますか(投票しましたか)」などの質問に答えてもらった。投票日の調査にはフジテレビも参加した。
プレミアパネルの最大の利点は、有権者のほぼ半数をカバーしていることだ。NTTドコモのポイントサービス「dポイントクラブ」にはNTTドコモ以外の携帯ユーザーも加入している。その会員のうち、NTTドコモからアンケートのメールを受け取ることを承諾した人たちで構成されているのがプレミアパネル。東京都内に暮らす有権者の2人に1人を母集団としてランダムサンプリング(無作為抽出)調査ができる。
6月26日の情勢調査では…
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