
どの政党にも、外交上、一丁目一番地(最重要原則)に関する政策がある。連立与党である自民党と公明党は、日米同盟が基本政策だ。日本維新の会、国民民主党、立憲民主党にしても日米同盟を外交の基本としている。日米同盟を担保するのが日米安全保障条約だ。
これと全く異なる安保政策をとるのが日本共産党だ。2020年1月16日、「毎日新聞」政治プレミアの寄稿で、共産党の笠井亮・衆議院議員は、こう述べている。
<さらに安倍政権は憲法解釈を勝手に変え、2015年に集団的自衛権の行使を容認した安全保障関連法制を強行し、自衛隊が海外に出て行って戦争できる国づくりに踏み出した。
安保条約の枠さえ超えた地球的規模の軍事同盟となり、海外で米軍とともに自衛隊が戦う危険が増している。日米安保に基づく日米同盟を強化しても北東アジアの緊張を激化させるだけだ。
また、経済的にも、日米安保があったからこそ、米国は年次改革要望書などで市場解放を迫ってきた。昨年も日米貿易協定を強行している。軍事でも経済でも、米国いいなりの政治の大もとにあるのは日米安保だ。
在日米軍は決して日本を守る軍隊ではない。トランプ米大統領は日米安保を「不公平だ」と主張し、在日米軍の駐留経費の増額を要求しているが、不公正な負担を強いられているのはむしろ日本のほうだ。
諸悪の従属の根源である日米安保をいつまで続けるのか、正面から問われる時期になってきているのではないか。
国民の多数の合意によって安保条約を廃棄し、独立・平和・中立の日本を作る。米国とは対等平等の立場に基づく日米友好条約を結ぶ。そうすることで米国の引き起こす戦争の根拠地から抜け出し、米軍基地の重圧から解放され、経済主権を取り戻し、本当の独立国といえる日本になることができる。>
共産党の見解では、安保条約が諸悪の根源だということだ。筆者はまったく同意できないが、まず対米従属を断つ民族独立革命を行い、その後、社会主義・共産主義革命を行うという共産党の二段階革命論に立つならば、筋の通った主張だ。もっとも笠井氏は、<共産党は日米安全保障条約を廃棄し、日米友好条約に変えるという大方針を持っているが、これを野党連合政権の政策には持ち込まない>とも述べている。
笠井氏が1年半前に述べていた内容を、最近、共産党はさらに推し進め、次期衆議院議員選挙の公約に日米安保廃棄を入れないことを明…
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