崩れだした日本の民主主義統治 選挙が最後の砦

田中均・日本総合研究所国際戦略研究所理事長
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田中均氏=根岸基弘撮影
田中均氏=根岸基弘撮影

 今日の政治の特色は3Sだ。3Sとは「説明しない」「説得しない」「責任をとらない」という三つのSで始まる言葉で、今日の政治の問題点を表してみた(YouTubeチャンネル「田中均の国際政治塾」より「長期政権で露呈した後手後手の“3S政治”」)。

 権力者が説明し、説得し、結果責任をとるというのは民主主義的統治の大原則だ。

 安倍晋三前首相は、森友問題や加計問題、そして桜を見る会などで疑惑を持たれ、国会質疑で虚偽答弁をし、説明責任を果たすことなく辞任したが、その後、体調を回復し本格的に政治の表舞台に復帰したと伝えられる。

 しかし、説明責任を果たす考えはないようだ。今日まで森友・加計・桜を見る会に加え、吉川貴盛元農相の収賄事件、河井克行元法相・河井案里元参院議員・菅原一秀前経済産業相の選挙違反事件など、政治の信頼を損ねる事件が頻発した。

 しかし、再発防止に取り組む動きも見られず、河井夫妻選挙違反事件に関連して選挙費用として党から配分された1.5億円にも上る多額の資金の問題も闇の中のままだ。自民党の中から批判の声が上がることもなく、自民党の自浄能力はないに等しいという事か。

強力な政権がもたらした弊害

 なぜこうなったのか。答えは簡単である。自民党は国会で圧倒的多数の議席を持ち、政権は党内で多数の支持を得ていた。

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田中均

日本総合研究所国際戦略研究所理事長

1947年生まれ。69年京都大学法学部卒業後、外務省入省。オックスフォード大学修士課程修了。北米局審議官、在サンフランシスコ日本国総領事、経済局長、アジア大洋州局長を経て、2002年より政務担当外務審議官を務め、05年8月退官。同年9月より(公財)日本国際交流センターシニア・フェロー、10年10月に(株)日本総合研究所国際戦略研究所理事長に就任。06年4月より18年3月まで東大公共政策大学院客員教授。著書に『見えない戦争』(中公新書ラクレ、19年)、『日本外交の挑戦』(角川新書、15年)、『プロフェショナルの交渉力』(講談社、09年)、『外交の力』(日本経済新聞出版社、09年)など。2021年3月よりTwitter開始(@TanakaDiplomat)。毎日リアルタイムで発信中。YouTubeチャンネル(@田中均の国際政治塾)。