ロシアから世界を見る

コロナワクチンを2回接種したのに感染 それでも感じた効果とは

前谷宏・モスクワ支局長
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ロシアのワクチン「スプートニクV」を接種する医療従事者=モスクワで2021年7月13日、AP
ロシアのワクチン「スプートニクV」を接種する医療従事者=モスクワで2021年7月13日、AP

 私はこの夏、ロシアで新型コロナウイルスに感染した。5月17日付の当コラム<ロシア製ワクチン「スプートニクV」を打ってみた>で報告したように、私はロシアの新型コロナウイルスワクチン「スプートニクV」の接種を3月に2回受けていた。それだけに信じられない気持ちも強かったが、ワクチンを接種しても感染する事例は世界各地で起こっており、珍しいわけではない。

 一方で、後述するように症状は軽く、命を守るというワクチンの基本的な効果も実感した。新型コロナとの闘いが長期化する中、ワクチン接種を受けるかどうかを判断する参考になればと思い、自分の経験を記しておきたい。

信じがたい「陽性」の結果

 最初に体調の異変を感じたのは6月30日の朝だった。目覚めてしばらくたった後も妙に体が重い。最初は「疲れがたまっているのだろう」と思った。その前の数週間、多くの原稿を抱えていて、週末もずっとパソコンとにらめっこする日々が続いていた。前日の夜には「気分転換のため」と9キロほど自宅のそばをジョギングし、その後にはビールやワインも飲んだ。「疲れているときに無理をしてはいけないな」。そんなことを考えながら、モスクワ支局に出社し、倦怠(けんたい)感の中で仕事を続けた。午後になると、軽い寒けも覚えたが、体温はまだ36度台後半だった。念のために日本から持ってきた市販の風邪薬を飲んで、この日は早めに床に就いた。

 だが、翌日も体調は戻らない。昼過ぎには体温が37度を超え、仕事をやめてベッドに横になった。「もしかして、新型コロナウイルスに感染したのではないだろうか」。そんな不安に襲われた。しかしワクチン接種を2度受けてから既に3カ月以上経過している。「風邪だろう」と自分に言い聞かせた。

 しかしその後、体温が上がったり下がったりを繰り返した。どうも普通の風邪とは違うようだとも感じ始めた。その次の日も熱は引かず、昼前に体温が38度近くまで上がった。

 ここで支局の助手に連絡し、近くでPCR検査を受けられる場所を探してもらった。ただ、ロシアでコロナの感染拡大が続く中、どこの検査機関も保健当局の指示で発熱などの症状を抱える患者の来院を断っていた。自宅への出張検査も予約が詰まっており、どこの機関も「いつ検査員を派遣できるか分からない」と言う。

 とりあえず一番早く来てもらえそうな検査機関に予約を入れた。じりじりする思いでベッドに寝ていると、自分で感染の有無を調べることができるという抗原検査キッ…

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前谷宏

モスクワ支局長

2004年入社。新潟支局、東京社会部、福岡報道部を経て、20年9月にモスクワ支局へ着任。ロシアや旧ソ連諸国の動静を追いかけている。過去には警視庁や福岡県警、防衛省などを担当した。