日本外交の現場から

韓国ドラマで学ぶ慰安婦問題の難しさ 謝罪をめぐる概念の違いとは

大貫智子・政治部記者
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6月に開かれたG7サミットで記念撮影するG7と招待国の首脳ら。2列目左端は菅義偉首相、前列右から2人目は文在寅韓国大統領。サミットの機会を利用した日韓首脳会談は行われなかった=英コーンウォールで2021年6月12日(Andrew Parsons/英首相官邸提供)
6月に開かれたG7サミットで記念撮影するG7と招待国の首脳ら。2列目左端は菅義偉首相、前列右から2人目は文在寅韓国大統領。サミットの機会を利用した日韓首脳会談は行われなかった=英コーンウォールで2021年6月12日(Andrew Parsons/英首相官邸提供)

 韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が、東京オリンピック開会式に合わせた訪日を見送った。五輪という儀礼的な場を活用した首脳会談さえ開けないほど相互不信が深いことを、内外に示してしまった。文氏の任期は2022年5月までで、残り1年を切っている。任期中に日本への公式訪問が実現する可能性は極めて低くなった。

 日中韓首脳会談など多国間会議を除く、2国間訪問としての韓国大統領の来日は11年12月の李明博(イ・ミョンバク)大統領(当時)を最後に途絶えている。国賓としての来日となると、03年6月の盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領(同)までさかのぼらなければならない。20年近くの間、両政府の関係は希薄になる一方だった。

 これに反比例するように、韓国文化は日本で広く親しまれるようになった。その代表格である韓国ドラマの視聴者層は、今や男女や世代を問わない。

 日本のある元ベテラン外交官も、最近韓国ドラマの魅力に取りつかれた一人だ。「愛の不時着」や、政界を舞台にしたドラマなど、多様なジャンルの作品を楽しんでいるそうだ。

 韓国にも知己の多い元外交官であるが、ドラマの一場面を見て、慰安婦問題の解決がなぜ難しいのか、わけがようやく分かったという。…

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大貫智子

政治部記者

神奈川県生まれ。2000年入社。前橋支局、政治部、外信部を経て13~18年ソウル特派員。12年と16年に訪朝し、元山や咸興、清津など地方も取材した。論説委員、外信部副部長を経て、21年4月から政治部で日本外交を取材。ソウル駐在中から取材を始めた日韓夫婦の物語「帰らざる河ー海峡の画家イ・ジュンソプとその愛」で小学館ノンフィクション大賞を受賞した。「愛を描いたひとーイ・ジュンソプと山本方子の百年」と改題し、刊行。