「西村発言」にみる法治主義軽視 菅内閣は国民の信頼を崩した

後藤祐一・衆院議員
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後藤祐一氏=野原大輔撮影
後藤祐一氏=野原大輔撮影

「撤回」では問題は解決しない

 西村康稔経済再生担当相が東京都への4回目の緊急事態宣言を巡り、飲食店が酒類を提供しないよう取引金融機関からの働きかけを求め、さらに酒を提供する飲食店と取引しないよう酒類販売業者に要請した。

 資金繰りで苦慮する飲食店の弱みにつけ込むような手法や販売業者への圧力で脅すようなやり方は、当然、強い批判を浴び、相次いで撤回に追い込まれた。

 だが、撤回して済む話ではない。これだけ国民の常識から見てやり過ぎだと思える政策を、科学的根拠も法的根拠もなく簡単に打ち出してしまう政府の現状こそが大きな問題だ。

 感染拡大防止のためには、どうしても国民の行動制限が必要となる。そして国民の自由を抑制するような強めの政策には科学的根拠と法的根拠という二つの視点が不可欠だろう。今回の西村発言はこの「法的根拠」が著しく欠如しているのだ。

法律に基づいて行政を行う意識の欠如

 飲酒をターゲットにして対策を厳しくすることについては、科学的根拠は必ずしも明らかでなかったが、飲酒を伴う3人以上の会食に2回以上参加した人は0から1回の人に比べて5倍感染しやすいとの分析が、7月8日になってようやく国立感染症研究所から示された。

 一方、私が閉会中審査の内閣委員会で法的根拠について問うと、西村担当相は「一般的なお願い」だったと答弁した。つまり法的根拠があいまいなまま、営業の自由を奪い、経営環境を悪化させ、国民の行動を抑制させようとしていたことになる。

 しかも、この政策は決して西村担当相の「スタンドプレー」ではなかった。…

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後藤祐一

衆院議員

1969年生まれ。経済産業省を経て2009年衆院初当選。旧国民民主党政調会長代行などを歴任。衆院比例南関東、当選4回。立憲民主党。