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ワクチン「後れを取った日本」基礎からやり直す

古川俊治・参院議員
古川俊治氏=須藤孝撮影
古川俊治氏=須藤孝撮影

 国会議員であると同時に医師として、自民党新型コロナウイルスに関するワクチン対策プロジェクトチームの事務局長を務めている。

やらないわけにはいかない

 日本のワクチン接種が欧米に比べてこれほど遅れたのは、やはり「シーズ」(開発の元となる技術)が日本になかったからだ。残念ながら、研究投資、基礎技術の部分で日本は大きく遅れている。

 もう一つはベンチャーと産学連携だ。今回ワクチンを作ったモデルナ、ビオンテックはベンチャーで、オックスフォードは、産学連携で実用化した。

 一方で、日本企業はリスクを取らない。もっと言えば、日本の製薬企業の規模ではワクチン製造というリスクを冒せないという見方もある。日本の経済力の限界だと考えることもできる。

 しかし、中国もインドもロシアもワクチンをすでに作っている。日本にできないはずはないと言っても、現実にはできていない。

 政治としては、ここはなんとしてもワクチンを国家戦略としてやるしかない。ワクチン提供の国際的枠組み「COVAX(コバックス)」は大事だが、そうした問題とは別だ。今回のことでワクチンは医療だけの問題ではなく、外交防衛に関わるということも明らかになった。「ワクチンをくれるなら仲良くしよう」という構図がはっきりし、だからワクチン開発の意義が高まった。

 日本がやらない選択肢はない。コロナが収束しても、次の感染症は必ず起こる。さまざまな感染症への対応で開発の経験値を上げ、次のパンデミックでは絶対にワクチンを早期に作らなければならない。

大事な職域接種

 職域接種は混乱したが、ワクチンの接種速度を落とさないために、流通を細かく規制することよりも、なるべく現場に下ろすことを優先したため、という側面もあった。

 ただ、職域接種は現役世代の接種率を上げていくうえで重要だ。諸外国の例では、先行した高齢者の接種率にくらべ、現役世代の接種率は上がりにくいという課題があることが分かっている。職域接種は仕事とも両立しやすく利便性が高い。日本もこれからは若年層の接種率をあげることが大切だ。

 高齢者を優先したのは重症化や死亡のリスクが高いためだ。しかし、まん延防止のためには、無症状の人も多い若年層へのワクチン接種を進めることが最終的にはカギになる。

いま準備すべき追加接種

 そのうえで、今から準備しておくべきなのは、2回目の接種を終えてから約半年後に抗体価が下がってくる際に接種する3回目の追加接種だ。

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参院議員

 1963年生まれ。医師、弁護士を経て、2007年参院初当選。慶応大法科大学院教授、同大医学部外科教授。参院当選3回。自民党細田派。