悪の烙印が押された「核兵器使用」を援助する日本政府

川崎哲・国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)国際運営委員
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川崎哲氏=須藤孝撮影
川崎哲氏=須藤孝撮影

 核兵器開発などを全面的に禁じる核兵器禁止条約が2021年1月に発効した。ついに核兵器が全面的に違法化された。

 核兵器を作ることも持つことも使うことも、それらに協力することも、いかなる場合も禁止される。このような明確な国際法はこれまでなかった。

ダブルスタンダードの日本

 日本はこの条約を批准していない。核廃絶をめぐって日本がどう見られているかについては国外と国内でギャップがある。国外では日本がダブルスタンダード(二重基準)を持った国であることはよく知られているが、国内ではあまりそのことが認識されていない。

 首相は毎年8月に広島、長崎を訪問し、核廃絶を訴える。しかし国際舞台ではそれと反対のことをしている。国外では日本は北大西洋条約機構(NATO)加盟国と同様に、米国と同じスタンスで行動する国だとみられている。だから日本が核禁条約に参加しないことも、外交関係者の間では驚きはない。一方で、政府の立場と日本の世論が、かけはなれていることもよく知られている。

根幹にある「米国の核兵器が必要」

 核禁条約に参加しないことについて、日本政府は「橋渡し」であるとか「核保有国を巻き込まなければいけない」などと言っている。しかし、根幹にあるのは「米国の核兵器が日本の安全保障にとって必要」という考え方だ。核禁条約では核兵器の使用を援助したり、奨励したり、勧誘したりすることが明示的に禁止されているが、その点が日本政府の立場と抵触する。

 日本政府が正直に「核兵器の使用を援助し、奨励し、勧誘する」と言ってくれれば、争点が明確になる。しかし、そう言えば多くの国民がびっくりするので、「橋渡し」のようなぼんやりした言い方でごまかしている。

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川崎哲

国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)国際運営委員

 1968年生まれ。2003年にNGO「ピースボート」に加わり、現在、共同代表。国際運営委員を務める国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)は、17年にノーベル平和賞を受賞した。