ふらっと東アジア

中国でも始まった「ゼロ・コロナ」政策の是非論争

米村耕一・中国総局長
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PCR検査を受ける武漢市民=中国湖北省武漢で2021年8月3日(AP)
PCR検査を受ける武漢市民=中国湖北省武漢で2021年8月3日(AP)

 新型コロナウイルスの国内発生ゼロが一定期間続くなど、これまでコロナ抑えこみに成功していた中国でも、デルタ株の流入によって7月末以降、連日100人を超える国内新規感染者が発生している。

 これに対する中国政府の「コロナ撲滅作戦」の徹底ぶりはすさまじい。

 8月4日、北京市内の我が家から数キロ離れた望京地区の大型団地でも1人のコロナウイルス感染者が発生した。別の感染者と飛行機で乗り合わせた濃厚接触者だった。感染が確認されたのは早朝6時40分。その日のうちに周辺のオフィスビルも含めた団地全体が封鎖された。

1人の感染者で2500世帯が「封鎖」

 望京には、中国電子商取引(EC)最大手、アリババグループの本社機能の一部が置かれるなどIT大手のオフィスが建ち並ぶ。そのため最近は住宅価格の高騰が著しく、封鎖された団地も、2LDKでも日本円で約2億円弱、3LDK以上なら3億円近い価格が相場となる高級マンションだ。

 封鎖が決まると、この団地に住む約2500世帯は、団地の外には一切出られなくなった。中国メディアの報道によると、その決定があまりにも急だったので、出前の配達員や家庭教師など、用事で団地内にいた十数人も、そのまま団地内に閉じ込められたそうだ。

 発生から1週間過ぎた8月11日に団地を見に行くと、周囲には公安当局による黄色いテープの警戒線が張られ、十数メートルおきに出入りや異変を見張る社区居民委員会(町内会に近い公的組織)関係者が立っていた。…

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米村耕一

中国総局長

1998年入社。政治部、中国総局(北京)、ソウル支局長、外信部副部長などを経て、2020年6月から中国総局長。著書に「北朝鮮・絶対秘密文書 体制を脅かす『悪党』たち」。