国家の危機に国会を開かないのは政治責任の放棄

福山哲郎・立憲民主党幹事長
  • 文字
  • 印刷
福山哲郎氏=岡本同世撮影
福山哲郎氏=岡本同世撮影

 新型コロナウイルスの止まらぬ感染拡大、東京五輪の「バブル方式」の崩壊、ワクチン供給の混乱――まさしく日本は、国家の危機に直面している。

 立法府として、国権の最高機関として国会が対応しなければならないことは山積しているはずだ。

 国民に現在の状況や対処方針なども説明しなければならないだろう。しかしながら、政府・与党は臨時国会を開く姿勢を見せていない。これは政治責任の放棄だ。

憲法に基づく召集要求

 立憲民主党などの野党は6月、16日の最終日を前に国会の大幅な延長を求めた。

 緊急事態宣言下の五輪開催が迫り、選手・関係者を外部と遮断する「バブル方式」や水際対策をどうするのか。国民や世界が納得する五輪にするためのメッセージを打ち出さなければならないのに、菅義偉首相は「安全安心な大会」と繰り返すだけ。

 そもそも緊急事態宣言の期限(6月20日)が来る直前に国会を閉じるのは、国民に対する説明責任も放棄することになるのではないか。また、緊急事態宣言はリバウンドの兆しが見えている状況で解除すべきではない、五輪の時に感染拡大してしまう――と主張していた。

 しかし、政府・与党は「内閣から提出された法案はほぼ成立したので会期延長の必要はない」との立場を崩さなかった。

 案の上、その後、五輪開催中にも感染拡大が続き、東京都に4回目の緊急事態宣言が発令された。首都圏を中心に「第5波」に見舞われている状況だ。

 これに対し、政府は飲食店が酒類を提供しないよう取引金融機関からの働きかけを求め、さらに酒を提供する飲食店と取引しないよう酒類販売業者に要請したが、批判を受けて相次いで撤回。頼みのワクチンも自治体への供給が停滞し、混乱が増している。

 このため、立憲、共産、国民民主、社民の4党は7月16日、憲法53条に基づく臨時国会の召集要求に踏み切った。同条には、衆参両院いずれかの総議員の4分の1以上の要求があれば「内閣は召集を決定しなければならない」としている。それでも、政府に国会を召集する動きは見えてこないままだ。

「不測の事態」「政治とカネ」など問題山積

 しかし、現在、1日の感染者数が全国で2万人を超える日もあるなど、感染状況は悪化するばかりだ。政府の決めた「重症者以外は自宅療養で」という方針は、厳しい批判を浴び、撤回に追い込まれた。

 病床の確保が急務であり、また、事態がさらに急変し、飲食店など影響を受ける事業者や生活困窮者などへの支援策を追加で打ち出す必要が発生しても、国会が開いていれば、国会議員を通じて国民の声を政策に反映しやすくなるし、補正予算への対応も素早…

この記事は有料記事です。

残り1683文字(全文2762文字)

福山哲郎

立憲民主党幹事長

1962年生まれ。大和証券などを経て98年参院選で初当選。旧民主党政権で副外相、官房副長官などを歴任。2017年から現職。参院京都、当選4回。