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楽観していたバイデン大統領 米軍のアフガン撤退とカブール陥落を「深読み」

宮家邦彦・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹
アフガニスタンの首都カブールの米大使館付近の建物から噴き上がる黒煙。=カブールで2021年8月15日、AP
アフガニスタンの首都カブールの米大使館付近の建物から噴き上がる黒煙。=カブールで2021年8月15日、AP

 8月15日、遂にタリバンが首都カブールへの進攻を開始した。アフガニスタンのガニ大統領は国外へ逃亡し、アルジャジーラTVはタリバン兵士が大統領官邸内を我が物顔で闊歩(かっぽ)する映像を繰り返し流している。先週のワシントン出張では「全土制圧はまだ先の話」などの楽観論が多かったが、事態の悪化はバイデン政権の予想を超えていたようだ。

 外電は「タリバンが首都カブールに進攻、米外交官はヘリで退避」、「緊迫の首都にタリバン旗 米退避、ヘリ飛び交う」などとタリバンの「全土」制圧を報じた。だが、こうした報道だけで実態は見えてこない。そこで今回は、バイデン大統領の声明や記者会見の内容から、米軍のアフガニスタン撤退とカブール陥落後の情勢を「深読み」してみよう。

 毎度のことながら、以下はあくまで筆者の個人的分析である。

バイデン大統領の判断ミス?

 今回のカブール無血陥落の5週間前、7月8日に行われた記者会見でもバイデン大統領は楽観的だった。

 ■(米情報機関はアフガン政府崩壊の可能性を予測しているが、と問われ)それは正しくない。タリバンが全土を制圧する可能性については、ありそうも…

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キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

1953年生まれ。外務省日米安全保障条約課長、在中国大使館公使、中東アフリカ局参事官などを経て2005年に退職。立命館大客員教授、外交政策研究所代表なども務める。近著に「AI時代の新・地政学」。フェイスブック「Tokyo Trilogy」で発信も。