「桜を見る会」安倍氏再捜査へ 記者の思いは

記者会見する安倍晋三前首相=衆院第1議員会館で2020年12月24日、竹内幹撮影
記者会見する安倍晋三前首相=衆院第1議員会館で2020年12月24日、竹内幹撮影

 安倍晋三前首相の後援会が主催した「桜を見る会」前夜祭の費用補塡(ほてん)問題で、東京第1検察審査会は、安倍氏の公職選挙法違反(寄付の禁止)容疑について「不起訴不当」と議決した。東京地検特捜部が再捜査する。

 私は「桜を見る会」報道に取材班の一人として関わった。衆院調査局の集計に基づく野党の分析では、現役首相が国会で「補塡はしていない」などの「虚偽答弁」を118回も繰り返したとされる前代未聞の不祥事だ。まだ謎は多く残されており、地検による捜査徹底を期待したい。

「秘書がやった」に批判

 安倍氏側は2013~19年、多くの地元支援者を東京都内の高級ホテルに招いた前夜祭で、1人あたりの会費5000円を超過した宴会料を補塡した。その収支は14年以降、政治資金収支報告書に記載していなかった。安倍氏らは公選法違反などの容疑で告発され、特捜部は昨年12月、元公設第1秘書のみを政治資金規正法違反(不記載)で略式起訴したが、安倍氏は容疑不十分で不起訴とした。

 安倍事務所などへの強制捜査は見送られたが、検察審査会は公選法違反について「供述だけでなく、メールなどの客観資料も入手して犯意を認定すべきだ」と指摘。会計責任者の選任・監督を怠ったとする政治資金規正法違反の不起訴も不当とした。安倍氏本人が補塡や不記載を「知らなかった」としたことを「首相だった者が『秘書がやった』と関知しない姿勢は納得できない」と批判し、説明責任を果たすよう求めた。

無言でうなずいた安倍氏

 実際、16~19年だけでも約700万円を秘書が無断で補塡し、不記載にしたという構図には不自然さがある。…

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