なぜ日本の政治家は緊縮政策ばかりなのか

森永卓郎・経済アナリスト、独協大学教授
自民党総裁選立候補者討論会を前に記念撮影に応じる(左から)河野太郎行政改革担当相、岸田文雄前政調会長、高市早苗前総務相、野田聖子幹事長代行=東京都千代田区の日本記者クラブで2021年9月18日、吉田航太撮影
自民党総裁選立候補者討論会を前に記念撮影に応じる(左から)河野太郎行政改革担当相、岸田文雄前政調会長、高市早苗前総務相、野田聖子幹事長代行=東京都千代田区の日本記者クラブで2021年9月18日、吉田航太撮影

緊縮同士が争う自民党総裁選

 自民党総裁選が告示された。河野太郎行革改革担当相、岸田文雄前政調会長、高市早苗前総務相、野田聖子幹事長代行が立候補を届け出て、4人の争いになった。

 本来であれば、外交や安全保障など、国政全般にわたって各候補の政策を点検すべきなのだが、ここでは、経済政策に絞って、各候補の主張をみていこう。

 河野氏は、以前から財政緊縮の発言を繰り返してきた。脱原発に関しては、原発の再稼働を容認するなど、路線変更をしたが、財政政策については、路線変更はなかったようだ。河野氏は、9月10日の出馬会見で「個人を重視する経済政策」を掲げながら、その具体策として示されたのは、「労働分配率を一定水準以上にした企業に法人税の特例措置を設ける」ということだった。個人を重視するなら、個人を減税すべきだが、法人減税とい…

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経済アナリスト、独協大学教授

1957年生まれ。日本専売公社、経済企画庁、三和総合研究所(現三菱UFJリサーチ&コンサルティング)などを経て独協大経済学部教授。専門はマクロ経済、計量経済、労働経済。コメンテーターとしてテレビ番組に多数出演。著書に「年収300万円時代を生き抜く経済学」(光文社)など。