自民党総裁選「コップの中の争い」で終わらせてはいけない

久米晃・元自民党事務局長
  • 文字
  • 印刷
久米晃氏=佐藤慶撮影
久米晃氏=佐藤慶撮影

選挙への危機感が背景に

 今回の自民党総裁選は、終わったらすぐに衆院選が控えている。選挙に不安を抱える国会議員の多くは「お尻」ではなくて「背中」に火が着いていて「カチカチ山のタヌキ」だ。だから衆院選に当選するには誰が総裁ならよいかで動いている。そんな理由で選んだリーダーで、衆院選後の本格的な国会は持つのかと、強く危惧する。大衆受けのいいことばかり言う総裁を選ぶことは良いことではない。

 派閥の領袖(りょうしゅう)も所属議員の選挙への危機感は無視できない。だから派閥がまとまって候補者を擁立できない総裁選になっている。

菅首相退陣の「プラス」は限定的

 そもそも自民党の派閥は、一つの選挙区内で複数の自民党候補が争う中選挙区の時代の産物だ。1選挙区1候補の小選挙区制度の現在、その存在意義は薄れている。閣僚ポストも、派閥からの推薦をはねのけた小泉内閣以来、派閥の所属の有無は関係なくなった。今や互助会的な情報共有のサロンと化しており、所属議員への締め付けも昔に比べて利きにくくなっている。

 菅義偉首相の事実上の退陣表明により、次の衆院選に向けて自民党を取り巻く状況は劇的に良くなった。しかし、最終的にはそのプラス効果は限定的となるだろう。

4人の違い、あまり見えず

 菅氏の退陣表明前、一時は次期衆院選で「自民党70議席減」の予想もあった。今、総裁選を動かしている力の一つは特に若手議員の落選への恐怖感だ。…

この記事は有料記事です。

残り700文字(全文1298文字)

久米晃

元自民党事務局長

 1954年生まれ。愛知県出身。業界紙記者を経て、80年に自民党本部職員。党選対本部事務部長などを歴任した。2019年に退職。現在は「選挙・政治アドバイザー」