「デジタル庁」が成功するには 政府に国民からの信頼はあるか

古賀伸明・元連合会長
  • 文字
  • 印刷
古賀伸明氏=内藤絵美撮影
古賀伸明氏=内藤絵美撮影

 発足3日目には、その生みの親ともいえる菅義偉首相が退陣を表明するなど前途多難な船出となったが、「デジタル庁」が2021年9月1日に発足した。

コロナ禍で露呈した遅れ

 コロナ禍で浮き彫りになった大きな課題の一つが、デジタル化の遅れである。デジタル劣等国であることが露呈されたと言ってもいいだろう。

 20年、国連の世界電子政府ランキングで日本は14位。経済協力開発機構(OECD)の調査では、国の行政手続きのオンライン利用率は19年時点で7.9%にとどまり、29カ国中最下位だ。

 記憶に新しいが、このコロナ禍で、ペーパー記入やファクスのやりとりでの感染者の集計ミスが相次いだ。国民1人当たり一律10万円を支給する特別定額給付金事業に関しては、マイナンバーカードによるオンライン申請を受け付けたものの申請データと住民基本台帳との照合確認作業が煩雑になってしまい、郵便申請より時間がかかるという事態が発生した。

 また、コロナ対策の中核と期待された接触確認アプリ「COCOA」の不具合が4カ月間も放置されるなど信じられないミスも露呈した。

縦割り行政の弊害

 これまでも政府は「ハンコの廃止」「ファクスの廃止」「オンラインによる不動産売買の重要事項説明の認可」「金融機関の書面限定手続きのオンライン化」などさまざまな行政分野でデジタル化に取り組んできたが、コロナ対策での縦割り行政の弊害で、官庁間のシステムの連携が取れなかったことも改めて明らかになった。

 民間企業においても、コロナ禍で緊急にテレワークを始めた企業の中には、テレワークへの環境整備が不十分なままの運用で、ハンコ承認や書類処理のため出社を余儀なくされるビジネスパーソンが続出する等、デジタル化の遅れが目立った。

この記事は有料記事です。

残り1207文字(全文1937文字)

古賀伸明

元連合会長

1952年生まれ。松下電器産業(現パナソニック)労組中央執行委員長を経て、2002年電機連合中央執行委員長、05年連合事務局長。09年から15年まで第6代連合会長を務めた。現在は連合総研理事長。