ふらっと東アジア

中国の規制ラッシュは新たな「文革」なのか

米村耕一・中国総局長
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女性アイドルグループに声援を送るファンら=北京で、CNS共同
女性アイドルグループに声援を送るファンら=北京で、CNS共同

 「男性芸能人が女性的な格好をしてはいけない」「アイドル養成型の番組は放送してはならない」――。

 中国で規制や取り締まり強化の嵐が吹き荒れている。若者たちを熱狂させる芸能界やゲーム界がやり玉に挙がり、スター芸能人のファンクラブ活動も規制された。ネット通販やキャッシュレス決済などで市民にとって不可欠な存在の中国ネット通販大手アリババグループなどIT大手企業に対しても圧迫政策が取られているほか、高まる教育熱を背景に成長産業だった学習塾業界にも規制の手は伸びた。

あるコラムの衝撃

 こうした状況下で8月下旬、それほど有名ではなかったコラムニスト、李光満氏のブログが突如、脚光を浴びた。

 「芸能人やそのファンクラブは社会の悪性腫瘍だ。(中国ネット通販大手アリババグループ傘下の金融会社)アント・グループなど外国に追従する資本集団は、すでに社会主義そして人民と対立する側に向かっている。今回の変革は、こうした社会の悪性腫瘍、外国追従資本集団を徹底的に片付けるためのものだ」

 中国内に衝撃を広げたのは、中国政府の規制強化策を称賛し、芸能界やIT企業を社会の敵とみなして激しく批判するこの文章が、権威のある国営メディアのインターネットサイトにも転載されたことだ。これが多くの人に、中国を大混乱に陥れた文化大革命(文革、1966~76年)を想起させた。文革も演劇批判の1本の文章が序幕となって始まったためだ。

 40年あまり前の文革の混乱は、まだ中国の人々の記憶に深く残る。市民からの反発も強く、このブログには称賛や支持と共に、「文革反対」「文革を想起させる言動反対」などのコメントも多くついている。

 反発の強さは中国政府当局も困惑させたようだ…

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米村耕一

中国総局長

1998年入社。政治部、中国総局(北京)、ソウル支局長、外信部副部長などを経て、2020年6月から中国総局長。著書に「北朝鮮・絶対秘密文書 体制を脅かす『悪党』たち」。