参政権の行使は日本国憲法で保障されている。しかし、海外に住む人、離島や山間部に住み交通手段も限られている人、病気や障害で移動や自書が困難な人など、選挙権をもっていても投票が困難な方々がいる。すべての選挙人が、等しく投票の機会を得られることが重要だ。
今の投票制度に不自由を感じている多くの人たちの不便を解消することができるのがインターネット投票だ。郵便投票よりも利便性が高く、不正も起きにくい。すべての人の投票環境を向上できる。実現のため「インターネット投票推進法案」を6月、立憲民主党・国民民主党の仲間たちと共に衆院へ提出した。
投票の秘密、技術と制度で守る
今回の法案は、みなさんが不安に思っていること、懸念しているであろうことを、技術的・制度的にどうしたら払拭(ふっしょく)できるかを考えながら作成した。
本人確認には「デジタル署名」やそれに相当する認証方法を利用する。デジタル署名は、すでにさまざまな分野で利用されている技術だ。マイナンバーカードを使うこともできる。インターネット投票を導入した国でも、デジタル署名が破られたという事例は聞いたことがない。「なりすまし」は防げる。大事なのは、デジタル署名がされた記録が不正に抹消されたり、捏造(ねつぞう)されたりしていないことの証明だ。ブロックチェーン技術で、公平性、透明性を担保できると考えている。
また本人以外は誰に投票したのか、わからないようにすることが必要だ。技術と制度の両面で、投票の秘密を守る。「投票を行えるのは誰か」「誰が投票したのか」という選挙人データと、「誰に投票したのか」という投票データは、切り分けて管理する。両方のデータを暗号化し、複数の暗号鍵を分散管理する。また、誰が誰に投票したかという情報を確認することを禁止する条項を定め、政府や各地方自治体が投票の秘密を守らなければならない制度にする。
費用節減にも
システムダウンの懸念もあると思う。ブロックチェーンは、システムダウンが非常に起こりにくいことが特徴だが、制度面でもリスク管理を行…
この記事は有料記事です。
残り1566文字(全文2424文字)