再評価したい日本の民主主義

横江公美・東洋大学国際学部教授
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東洋大の横江公美教授=吉田航太撮影
東洋大の横江公美教授=吉田航太撮影

 「日本の政治がダメになった」という言葉をよく耳にする。そう言えるのは日本に民主主義が根付き、日本が安定しているからこそなのだが、その視点は忘れられがちだ。

 現在の政治家との比較対象として、占領軍と渡り合った吉田茂首相、日米安全保障条約を改定した岸信介首相、経済発展の礎を担った佐藤栄作首相、日中国交正常化を成し遂げた田中角栄首相の名前がよく挙げられる。

 しかし、時代背景が異なる。あの時代はエネルギーに満ちていたが、それだけ混沌(こんとん)としていた。今は戦後でも冷戦下でもない。

 日本を企業に例えるならば、カリスマ社長が必要な創業期はとうに終わったのだ。世界一を狙う位置ではないものの、大企業であり、安定した上場会社である。企業の創業者が企業にとって別格であるように、戦後の日本を支え、世界第2の経済大国にまでけん引した政治家にひかれるのは当然だろう。しかしながら今は、そういう時代ではないのだ。

 改善が必要なのは当然のこととして、「改善が必要」と認識し、主張できるのもしっかりとした民主主義が根付いているからこそだ。グローバリゼーションが進む今こそ、日本人が日本の民主主義を再評価する時ではないかと思う。

批判できるのは成熟の証し

 ジャーナリズムの役割は、政治や社会の問題を発見しそれを報道することだ。しかし、民主主義が確立されていなければ、メディアも問題を報道できない。

 政府の批判が禁止されている独裁国家や権威主義の国は数多くある。国家反逆や治安悪化の罪で強い懲罰を科す国もある。民主主義が確立されればこそ…

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横江公美

東洋大学国際学部教授

 1965年生まれ。VOTEジャパン(株)社長、米国のシンクタンク「ヘリテージ財団」上級研究員を経て、17年より現職。著書に「隠れトランプのアメリカ」「日本にオバマは生まれるか」「アメリカのシンクタンク」など。