責任を認めない入管 スリランカ女性死亡 最終報告書

石橋通宏・参院議員
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石橋通宏氏=内藤絵美撮影
石橋通宏氏=内藤絵美撮影

 3月に名古屋入管でスリランカ人女性、ウィシュマさんが亡くなった事件について、出入国管理庁は8月、最終報告書を公表した。しかしこれは真相究明からはほど遠い内容で、これを「最終報告」として問題を終わらせようとする入管庁の態度には、憤りを禁じ得ない。

 そもそも我々は、今回の調査手法について深刻な疑義を呈してきた。これは「内部調査」であり、中立的な「第三者」とは言えないような方々を、当初は名前も公表せず委員に任命し、その方々がどういう形で調査に関与したのかも最後までブラックボックスだった。

 このような入管庁による「内部調査」では、ご遺族はもちろん、国民からも信頼される調査とは受け止められないと強く指摘し続けたが、案の定、最終報告書は真相究明とは到底言えない内容だった。本気で真相を究明する気があるならば、完全な第三者機関による調査を最初からやり直すべきだ。

検査で異常も放置

 最終報告書には、4月に公表された中間報告には記載がなかった2月15日の尿検査の結果がさらりと盛り込まれていた。重大な情報だ。報告書には「飢餓状態にあることを示唆」とのみ記載されているが、専門の医師らは、この数値を見れば「状態が非常に悪いことは明らか。そのままにするのは理解できない」と指摘している。なぜその時点で、速やかに医療的な対応をとらず、放置したのか。深刻な過失があったと言わざるをえない。にもかかわらず、最終報告書では、この問題に対する評価がはなはだ軽すぎる。

 これだけの重大な検査結果が、なぜ中間報告には記載されていなかったのか。意図して盛り込まなかったのならば、隠蔽(いんぺい)でありとんでもないことだ。入管側は「隠蔽を意図したわけではない」としているが、いかなる根拠に基づいてそのように判断したのか。その根拠を開示すべきだ。

報告書とビデオに食い違い

 驚いたことに、最終報告書では死因すら特定されていない。我々は当初から死因の究明を求め、正式な解剖所見を国会に提出してほしいという点と、亡くなる前の様子が記録されたビデオを開示すべきことを求めてきたが、ことごとく却下されている。

 亡くなられる直前の記録を含め、少なくとも2週間分のビデオが残っている。ご遺族はビデオの一部をご覧になったが、その内容ですら最終報告の記述と齟齬(そご)があるとおっしゃっている。やはり、2週間分のビデオをすべて見ないことには、最終報告に記載されている事項が真実なのかどうかの証明ができない。

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石橋通宏

参院議員

 1965年生まれ。NTT労組、国際労働機関(ILO)専門官などを経て2010年初当選。「難民問題に関する議員懇談会」会長。参院比例代表、当選2回。立憲民主党。